イエローフォー


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 「くくく…『イエローフォー』とは我らに殺されるためだけに存在するらしいな」
 「ううっ…」
  矢吹ジュンは鉄の味を喉に感じていた。ミカを葬り去った反バイオ粒子からは、
ジュンもまた逃れることが出来ない…
 「くっ…みんな」
 イエローフォーは全身が重く感じられた――仲間のためにも、地球のためにも…
これ以上、バイオマンが屍骸を晒すわけにはいかない。もし、そんなことになれば、
もう、新帝国ギアに対抗しようという者は無くなってしまうだろう。
 「これまでの恨みを晴らさせて貰おうか?」
 ジュンは恐怖よりも、悔しさを感じていた。目の前にいて、イエローフォーを
嬲り者にしているのは、ほかならぬメカクローン――普段は、数秒で屈服させる相手なのだ。
 「これはこう使うのかな」
 相手の腕の中にバイオソードがあった。それが真ん中で折れ、現れた銃口の先に
イエローフォーが据えられる。
 「勝手に…あああアアアアッ!」
 それは悲鳴というより呻きに近かった。メカクローンとて、決して弱くは無い。
その弱くないメカクローンを瞬殺するだけの威力を、バイオソードは持っている…
 「ひかる…助けに……」
 ジュンは心の中で呟いた。焦点の合わない視線の中で、バイオソードが元の
剣タイプへと戻る。
 「お前はいつも、この技で俺の仲間を殺したよな…」
 「そ…んな……」
 「サンダーソード!」
 レモン色の光が剣に宿ると、その雷撃はイエローフォーの光沢のあるスーツを包み込む
――というよりも、その中に埋もれるというほうが近かった。
 「キャアアアアアアアアァッ!」
 赤子の泣き声のようにもきこえた。全身が出血しているような感じがする。濛々とした
白煙と臭い臭いに包まれ、頭が船酔いにでもあったように揺れた。ぷすぷすと胸の電子回路が
焦げ、鰹節を炙ったときのようにスーツが焦げて燃え、溶けだす。
 「あうっ…」
 「とどめを刺すのは惜しいが、うかうかしてるとこっちが危ねえや…残念だが、
イエローフォーも遂に生きる目的を達成しようもんだぜ」
 メカクローンは引きつった笑いを立てた。ジュンは真っ赤に染まった視界の中で、
イエローフォーの必殺武器――バイオアローを構えるメカクローンを見ていた。
 「や…やめ……っ!」
 サンダーソードによって爛れて露出した胸――焼き鏝をあてられたように酷い火傷を
負っていた――に、バイオアローが向けられていた。
 アーチャリーの天才ジュンでなくても、その運命は簡単だった。どんな素人が放ったと
しても、矢はジュンの胸を貫通し、心臓や肺が出血を起こして、心肺機能を破壊するだろう……

 そして、事実、イエローフォーは繁華街の目立つところに、掲げられた。駆けつけた仲間が
彼女をバイオベースへ運ぶまでの間、何万人もの目線に、その亡骸は晒されたのだった。


(文章提供:サワキ様)


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