ファイブピンク


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  女は、正義の戦士だった。そして、教師でもあった。
  当然、教え子たちは女にとって最大の弱点となり得た。
  女の敵にとって、それを利用しない手などあろうはずがない。
 それこそがもっとも簡単かつ効率的方法なのだから。
 
 敵は、女の教え子を人質に女を一人でおびき出した。
 そこは、女の死地。
 そこは、女の処刑場。
 女の、最期に見るはずの場所。
 
 女は、言われたとおりたった一人でやって来た。
 嬲リ者にされるために。
 慰み者にされるために。
 そして、殺されるために。
 
 気丈にも、女はたった一人で戦った。
 勇敢に戦った。
 勝てるはずのない戦いでも、諦めることなく。
 それだけが、女にできる唯一の抵抗だから。

 女は、敗れた。
 ボロボロに敗れ去った。
 嬲り者にされた。
 慰み者にされた。
 
 処刑台が用意された。
 そして、そこまでの道が用意された。
 長い長い、茨の道。
 はるか遠くまで、それにまたがって進んでいく。
 
 敵は、女を縛った。
 息も出来ないほど、きつく女を縛った。
 彼女を縛るものは、電流。
 激しい電撃が、女を縛りつつ、責め、苛む。

 歩くたび、鋭い棘が女の股を引き裂いていく。
 足をも縛られ、ほとんど前に進めない。
 刺さった棘から逃れられない。
 そして長引くほどに、電撃が女を苦しめる。

 果てしなき苦痛を、女は耐えた。
 ただただ耐えた。
 子供たちのために。 
 教師として、正義の戦士として。
 
 そして、苦しみの果てに、女はついにたどりついた。
 茨の道の尽きる先へ。
 子供たちの待つ場所へ。
 …女の、最期の場所へ。

 あのやさしい数美先生は…あの凛々しいファイブピンクは…
 
 もう、どこにも…いない。もうあの笑顔は、どこにも…ありはしないのだ…


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