「アニキー、何とかなんないもんっスかねぇ」 「あー?何がだ?」 「何って・・・マスクマンっスよ、俺らいっつもやられてばっかじゃないっスか」 彼らはアングラー兵・・・地底帝国の兵の中で最下層に位置する、ただの戦闘員である。 その能力は最下層の兵だけあって最弱で、変身していない生身のマスクマンたちにさえ 歯が立たない始末であった。 「んー、このままじゃあ、まずいよな確かに・・・」 「そおっスよ!俺らそのうち責任取らされますよこんなに負けてちゃあ・・・」 「ま、俺たちのかわりなんざいくらでもいるからな」 「アニキ、んなこと言ってる場合じゃ・・・」 「ふっふっふ・・・」 「な、何スか気持ち悪い」 スコン!思いっきり頭を殴られる弟分。かなりいい音がしたから、頭は空っぽらしい。 「誰が気持ち悪いだ!!俺にはちゃんと作戦があんだよ!!!」 「さ、作戦?」 「おう。これだけ負けてりゃあ作戦の一つや二つ嫌でも見つかるっての」 「え?そうっスか?俺は何にも・・・」 スコン!やっぱいい音だなこいつ・・・アニキはそう思うのであった。 「いいか?今から言うことをよーく聞け。」 「はい!」 「作戦というのはだな・・・」 「おおーっ!さっすがアニキ!」 「だが、今の実力じゃこの作戦を実行できん。これから猛特訓だ!!」 「はい、アニキ!!」 それから一ヶ月・・・ 「アニキ・・・ちょうどいいとこにピンクマスクが一人で歩いてるっスよ」 「よし・・・特訓の成果、見せてやろうじゃねえか」 ピンクマスク・モモコはその日、買い物をするために街へ出かけていたところだった。 買い物をすませ、上機嫌で基地へ戻るモモコ。だがそこを、一人のアングラー兵の不意打ちが 襲う。 「きゃああっ!!」 突然の攻撃に対処できず、もんどりうって倒れるモモコ。しかしさすがはピンクマスク、すぐに 立ち上がると、続く敵の第二撃をあっさりかわして首に強烈な手刀を浴びせて相手を気絶させた。 「・・・なっさけねえなあ・・・」 その様子を見て、隠れていたもう一人のアングラー兵、アニキが首を鳴らしながら姿を現す。 そしていきなりモモコ目掛けて走り出すと、あっという間に間合いを詰めてモモコの首を掴むと、 そのまま地面に叩きつけた。 「くっ・・・」 頭を打ち、意識が朦朧とするモモコ。このままでは、やばい・・・そう思った彼女は、ピンクマスクに 変身して戦うことにした。 マスクマンは、オーラパワーによって変身する。そのとき、空中に飛び上がってオーラの中を抜けるのだ。 「たあっ!!」 変身するため、飛び上がったモモコ。だが・・・ 「今だ!!」 「はい!!」 その瞬間、気絶させたはずの弟分が起き上がり、変身中のモモコに向かってジャンプすると、そのまま彼女を 蹴り落とした。 「うああーっ!!」 思い切り地面に体を叩きつけられたモモコはしばらくの間起き上がることもできなかったが、何とか回復して 体を起こしたそのとき、自分の姿を見て唖然とした。 「な、何これ・・・変身が・・・!?」 変身中に攻撃を受けたモモコは、そのせいで変身が完了できず、不完全なピンクマスクになってしまっていた。 変身できずパニックになったモモコに、彼らは一切容赦することはなかった。 アニキはエネルギーを帯状に放出してモモコを縛った。 「ああっ・・・!!」 「よ〜くも今まで痛い目にあわせてくれたなぁ・・・」 「ひっ・・・」 「逃げられないっスよ!!」 弟分はそう言うと、背後からピンクマスクの首を絞めた。 「が・・・はあっ・・・」 「よし、そのまま押さえとけ」 そして身動きできないピンクマスクを、特訓により強靭に鍛えられたアニキの蹴りが襲う。 「あう・・うっ」 その一撃は、不完全な変身による不完全な防御機能では耐えることができなかった。モモコは口から大量の血を 吐き、さらに首を絞められている苦しさで完全に意識を失ってしまった。 「はっ・・・こんなもんか、マスクマンなんて。」 「やったっスねアニキ!!」 「よし、この女を連れて帰るぞ。ピンクマスクを捕らえたとなりゃあ、幹部昇進も夢じゃねえ!!」 「か、幹部っスか!」 「おうよ!」 だが、しかし・・・ 「お前たち、よくやったな。」 「あっ、こ、これはイガム様!」 それは、地底帝国の王子、イガムだった。 「ご苦労だった。この女は私が連れ帰る。お前たちはもう下がってよいぞ」 「ええっ?で、でもそいつは俺たちが・・・」 「・・・何か文句があるのか?」 「ひっ、な、何でもありません!!では、失礼します!!」 そう言って逃げ帰っていく二人のアングラー兵。結局手柄はすべてイガムに横取りされることとなった。 負けるな、アングラー兵!頑張ればいつかきっと報われる日が来る!!だからそれまで戦え!アングラー兵〜!! THE END |
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