南洋の孤島ラゴス島、戦時中に某国が持ち込んだと伝えられるプレシャス――
「偽りの太陽」を手に入れるために、ボウケンジャーは出動した。
『こちらボウケンレッド、敵に襲われた! ウワァッ!』
「レッド!レッド!」
イエローに向かって、さくらは頷いた。沢を下り、レッドのいる場所へと急行した
イエローとピンク――背後に三人が倒れており、そこには紫色のゴリラに似た生き物が
肩を震わせて立っていた。
「プレシャスの反応はあの背後から――さしずめ、プレシャスを守る守り獣と行った
ところかしら?」
仲間の窮地にもいたって普通なさくらに対し、菜月はとてもそんな心境ではなかった。
「みんな!」
「待って!」
さくらを他所にボウケンイエローは『守り獣』へ向けて飛び出した。
「グオウアァ!」
雄たけびをあげる『守り獣』はその巨体に似合わぬスピードでボウケンイエローの腕から
武器を叩き落とすと、その鋭利な爪をつきたてた。
「アアアアァッ!」
マスクがいとも簡単に吹き飛び、回路を露出させたイエロー、菜月の頭を『守り獣』が
押さえ込み、こちら――ボウケンピンクの目の前へ示した。
「そんなにプレシャスが大事なの……」
四人の仲間が捻じ伏せられてなお、さくらは至って冷静だった。だが、腕の震えが
はじまり抑えられなくなった。
「キャアアァッ、食べちゃ駄目、食べてもおいしくない!」
その正しく黄色い悲鳴に、さくらは薄ら寒いものを感じ、頭がパニックをはじめるのを
意識していた。
(文章提供:サワキ様)
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