「待ってろホワイト!すぐに助けに行くからな!」
ガオレッドは走っていた。
Gフォンを通して聞こえてきた、ガオホワイト、大河冴の悲痛な叫び声。
それが切迫した状況を如実に物語っていた。
「卑怯者!降りてきなさいよ!!」
まだあどけなさを残す、舌足らずな声でガオホワイトは空に叫ぶ。
相手は翼を持ち、空を駆けるオルグだった。上方から攻撃しては
離脱を繰り返す難敵に対し、地を這う白虎には何らなすすべもなく、
ただ一方的に嬲られ、消耗していく。
「ああっ!!」
空を飛びまわリ攻撃し続ける敵に対し、止まることは命取り以外の
何者でもない。だが、疲労と苦痛で立っていることさえままならなくなった
冴は、ついに膝を折り地に臥した。必死に立ち上がろうとするも
身体がまるで言うことを聞かない。
すでにマスクは破壊されてどこかへ吹き飛び、スーツもあちこち
穴が開き、その下の皮膚は破れ血が噴き出していた。
当然ながらオルグはそれを見逃さない。口から太い触手を這い出させると、
それを猛スピードで冴を目掛けて突き出してきた。
それは彼女の身体をグルグルと周り縛り上げた。
「いやっ…!放して!!放しなさいよっ…!」
冴を捕らえたオルグはそのまま彼女を抱えたまま空中高く飛び上がる。
「ホワイト〜〜〜〜!!!」
そこでようやく戦いの場に到着したレッド。だが、それはあまりにも遅すぎた。
「あはあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!」
おそらくそのことにかけては誰も彼女にかなわないだろうとさえ思われる、
あまりにも悲痛な叫び声を上げて、冴はその、まだ幼いと言えるほどの
若い命を散らしたのだった。
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