シエラは焦っていた。
 「どうして自分だけが…」
 その想いは日に日に募っていった…。

 永きに渡るクロスナイツとイサドラとの戦いも次第に終息が見え始めた、そんな状況。
激しく過酷な戦いの中で、双方ともにその戦力は信じがたいほどに増大していた。
 イサドラではダークマターの改良が進み、戦争初期の主力であったランク1や2の
ダークマターはもはや時代遅れの産物となり、今はその頃幹部クラスである
”黒の騎士”や魔女王クレオに次ぐ地位にあるピエロ・マリーの使用していた
ランク3,4クラスが標準装備となっている。
 しかしながら、エリーゼたちクロスナイツも負けてはいない。彼女たちの武器
ミスリルもまた改良が施されていた。それにより、クロスナイツはランク3〜4の
敵をもものともしない絶大な力を手中にしていた。
 しかしそれは、ただ改良されたミスリルレイピアを使うだけで得られる力ではなかった。
ミスリルレイピアはただのきっかけに過ぎない。それによって自らに眠る力を呼び起こす。
それこそが強大化する闇の力に対抗するため彼女たちが手に入れたものであった。
そうして自らの力に目覚めることを彼女たちは”クラスチェンジ”と呼んでいた。
 現状において、クロスナイツではシエラを除く全員がクラスチェンジを果たしていた。
初期にはミスリルレイピアを使うことが出来なかったデュランさえもがである。
 シエラもまた当初より地力は相当上がってはいるものの、戦いはすでに別の次元のものと
なっており、もはやクラスチェンジできていない彼女は戦力外というほかはなかった。
  クラスチェンジさえできれば…しかし、焦れば焦るほど、眠れる力どころか今できる全力さえ
出すことが出来なくなる始末。もともと内向的な性格の彼女のこと、考えれば考えるほど
深みにはまり、それが彼女の力を削ぎ、力の解放を妨げる、と言う悪循環に完全に陥ってしまっていた。












         


戻る