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王都内にイサドラ兵が出現の報。ランク1が数体とのこと。
折悪しく、エリーゼ、セシリア、ジャミルそれにデュランの4名は
現在別任務で王都を離れていた。だが、このようなときに備え、
エーヴェル、そしてシエラは基本王都を離れることはなかったのだ。
「行くぞシエラ…準備はいいか?」
「はい、エーヴェル様!」
少し心配そうに妹(と彼女は思っている)の顔を覗き込み尋ねるエーヴェルに、
少しでも母(と彼女は思っている)の期待にこたえようと力強く応えるシエラ。
「クラウ、ベルチェ、アーリ、アスラ、レト、ソニア、ライラ、ユリアン、カティナ。揃っているな」
「はっ!」
側に控えるは聖女騎士団が誇る、現在出動中のエリーゼを除く、各騎士隊の9人の隊長たち。
すでに深夜となり、夜勤に当たっていた数人以外の隊長は聖神殿内にある役宅に帰宅していたが、
その者たちも夜勤の者達も、緊急事態として団長の執務室に召集されたのだった。
その全員が、団長に対し一糸の乱れもなく敬礼を向けた。
その様子に満足し、団長エーヴェルは愛すべき部下達に笑顔を向ける。
「うむ。皆、私が出動している間、陛下を頼むぞ!」
「了解しました!」
エーヴェルは彼女達を信頼していた。少しの間自分がこの聖神殿を留守にしても、
何ら心配は要らない。本気でそう信じることができた。それはとても幸せなことだ。
そう、彼女は心から思えた。


「はあああっ!!!」
凄まじい爆音を伴って風神のレイピアが一閃、石畳に巨大な穴を穿ち、その中にはランク1の兵士数体が
ただの肉塊となって転がっていた。
まだ戦闘経験が浅かった頃は、エリーゼやセシリアでさえ生死をかけて戦ったようなレベルの相手を
何ら歯牙にもかけずに吹き飛ばし、
「ふん、手ごたえのない…」
などと少し落胆したように憤然としながら、エーヴェルは背後を振り返った。
「雑兵か…随分な歓迎振りだな」
エーヴェルが”雑兵”と呼んだ者達、それは正式には”ランク0”と呼ばれる存在だった。
ランク1の”ダークマター”を使えるほどの強い悪意や欲望を持たない、いわば小悪党たちだ。
その者たちのために、”魔女王”はランク1より弱い”ダークマター”を与えてやっていた。
姿は皆画一的で、戦闘力もほぼ全員同レベル、というまさに大量生産品というようなものだ。
強さはヒラの聖女騎士と同等といったところか。故に、聖女騎士団でトップレベルのクロスナイツの面々からすれば
ミスリルレイピアなしでも勝てる相手だった。
とはいえ、いくらザコでも数がいれば倒すのにそれなりには手間取るのが道理である。
そこには、ほとんど物事に動じることなどありえないのではないかと思われているようなエーヴェルでさえ、
およそうんざりするような数の雑兵が彼女を取り囲んでいた。
「まずいな…シエラを探さねばならんというのに…」
レイピアを構え、見るものを真っ二つにしかねないほど鋭い眼光を雑兵に浴びせてエーヴェルは吠えた。
「死にたい者からかかって来い!!行くぞザコども!!!!」


「ハァ…ハァ…」
黄色い衣に身を包んだ少女が膝を突き、倒れそうになっていた。それを地面に突き刺したレイピアで支え、
肩で大きく息をしている。兜は外れ、素顔が露になっている。美しい青い髪が乱れ、疲労に端正な顔が歪む。
「どうしたぁ、もう終わりか嬢ちゃん?」
角の生えた狼のような化け物が、両手の指を鳴らしながら少女を上から覗き込む。
「げへへへへへ…」
気持ちの悪い笑いを浮かべ、異常に長い口を持つ虫のような化け物がにじり寄ってくる。
「……」
ぶよぶよとした、形のよくわからない化け物が、無言で触手を近づけてくる。とてつもなく臭い。
美少女を取り囲む不気味極まりない化け物たち。それは無論、クロスナイツのシスター・ライトニングこと
シエラ・グランベルと、イサドラのランク1兵士達。
エリーゼたちがすでに経験により克服し、エーヴェルがその驚異的戦闘力でそもそも問題にさえせぬ相手に、
そのどちらもが圧倒的に不足しているシエラは絶望的な戦いを強いられていた。
力不足は明らか故に、エーヴェルからは側を離れるなと言われていたが、残念ながら弱き人々の悲鳴を聞いて、
身体が勝手に動かないような彼女ではなかった。(もっとも、それは他の者達も同じであったが。)
そこから乱戦となり、結局エーヴェルとはぐれてしまい現在のような状況になってしまった。
「あ…っ!?」
狼のような化け物が、上からシエラの首を掴み無理矢理立ち上がらせる。そしてそのままその細首を締め付けながら
左手を掴み、大きな口をあけてその肩口に自らの黒光りする尖った牙を突きたてた。
雷を示す黄色のミスリルメイルにいくつもの穴があけられ、見る見るうち真紅へと染まってゆく。
「あ、あぐあ…あっあ…!!」
激痛に身をよじらせるシエラ。その動きを封じるかのように、狼の腕は力強く彼女の細い首を折らんばかりに
締め付け、その牙はゆっくりゆっくり、深く深くそのまだ育ちきっていない青い肉体に突き刺さっていく。
「ああ…痛い、痛い〜〜〜!!!」
子どものように泣きじゃくるシエラ。そんな彼女をあざ笑うかのように、狼は上あごと下あごを互い違いに動かして
傷口を広げたり、おもむろに口をあけて牙を抜き、またすばやく噛み付くと言う行為を繰り返した。
牙を抜かれるたびに激痛が走り、さらに新しい傷を穿たれるという苦痛に、金切り声をあげながら頭を激しく振り乱し、
身体をダンスのように激しく悶えさせるその美少女の哀れでまた滑稽な様は、邪悪なオスどもの嗜虐心を、満足させる
どころか、どこまでもどこまでも餓えさせますますエスカレートさせていくようであった。
「げへへへへ…たまんねぇな、こいつの悶え方。声も最高だぁ…」
虫がその不気味な長い口をブルンブルンとまわしながら喝采を送っている。ブヨブヨは相変わらず無言だったが、
その触手の動きが早くなっている、こちらもかなり興奮しているらしい。
「ようし、おらもやるぞう!!」
我慢できなくなったか、虫がその長い口をシエラへと向ける。そして次の瞬間、目にも留まらぬ速さで
その腹部を貫いた。
「ぎゃが…っ〜〜〜〜〜〜〜はっ…!!」
すでに少女の身には耐えきれぬ苦痛に枯れんばかりの絶叫を張り上げ続けていたシエラは、さらなるダメージに
声にならぬ声をあげた。だが、虫のいやらしい攻撃はむしろここから始まるのだ。
「え…あっ…?」
シエラの全身が光り始める。それに気づくと同時に、彼女は全身の力が抜けていくのを感じた。
これは…魔力を吸われている?
その仮説に思い至り、シエラは恐怖した。魔力は生命エネルギーであり、戦闘力の源泉である。
魔力が減るたび、防御も弱まっていく。激痛はさらに激しさを増すことになる。すべて吸われてしまえば当然…
生命エネルギーを失った者を待っている運命はひとつしかない。
「あ〜〜!ああ〜〜〜〜!!あ〜〜〜〜!!!!」
シエラは痛みも忘れて必死にもがいた。このままではただなぶり殺しにされるだけだ。恐怖が痛みを凌駕したのだ。
しかし、いくらもがいても状況は何も好転しない。どころか、もがけばもがくほど、彼女の傷は深くなっていく。
苦痛はいや増していく。魔力も失われていく。そうしてしばらく暴れていたシエラだが、次第に痛みを超えた恐怖を
痛みがさらに凌駕し始めた。もはやどうにもならないほどの圧倒的な苦しみが少女のか弱い抵抗を押さえつけてしまった。
「あ…ああ…や…だ…助け…て…」
腹を貫かれたときの吐血と、恐怖と痛みからとめどなく流れ続ける涙と脂汗でそのあどけなくも美しい相貌はぐしゃぐしゃに
ぬれてしまっていた。だが、彼女の悪夢はここで終わりはしないのだった。
見た目に違わず、動きののろいブヨブヨは、ここへ来てようやくその触手をその愛しい愛しい人形へと届かせることに成功した。
「ひっ…」
これ以上一体どんな苦痛を与えられるのか。シエラは子犬のように怯えた目でブヨブヨを凝視した。
だが、案に相違して彼は他の二人とは違う方法を採った。
「はっあ…!?な…何を…」
その太い触手で殴られるものと思っていたシエラは一瞬何が起きているのか理解できなかった。触手はおもむろに
彼女のスカート破り始めたのだ。
「…!!?」
これまでの戦いで、幾度かは危地に陥ったこともあった。だが死ぬような思いをするほどではなかった。すぐに
エーヴェルが助けてくれたからだ。当然ながら他の仲間たちのように、敵に犯されたりするようなことは一度として
なかった。
それどころか、身も心も清らかなまま彼女は育ってきた。およそ性についてまともに教えられてもいなかったのだ。
本来は愛の女神を主神とするメリュジーヌ教であれば、性愛もまた重要なものとして教えられ、性行為も決して汚れたものなどと
考えられてはいない。だが、エーヴェルはあまりそういう話が好み、というか得意ではなかった。彼女に幼い頃に引き取られて
育てられたシエラは、必然的にそういう知識には同年代のほかの者に比べて著しく疎い子に育ってしまったのだ。
それ故に、彼女は今自分が何をされようとしているのか、まるで想像さえできなかった。
そうして苦痛と困惑にシエラが身を置いているうちに、ブヨブヨの触手は黄色いスカートを剥ぎ取ることを完了させ、
その下のストッキングをも破り去る。そして、ついに女性の象徴たる秘部が白日の下に晒されてしまった。
「や、やだぁ…っ!!な、何でそんなとこ…っ?」
いくら知識が乏しくとも、そこを他人に、それも見ず知らずの男たちに見られてしまうなど、恥ずかしいと思わぬ女の子は
そうそういないであろう。ましてシエラは人一倍慎み深く恥じらいを持った乙女であった。
死にたくなるほどの恥辱を感じ、彼女は必死に身体をくねらせた。身体の自由を取り戻し、秘部を隠そうともがいた。
死の恐怖さえ凌駕した痛みを、今度は恥じらいが乗り越えたのだった。だが勿論、いくら必死になろうと彼女の非力は何も
変わらない。ただただそのまだ成長しきっていない肉体に、傷を深く深く刻み込んだだけの徒労に終わるのは明白だった。
「うぎ…ぐあ…っあ…!!や、だ、見ないで…ぇ!こんな…あぎゃあ!!いやぁ〜〜〜!!!」
痛みと恥とで真っ赤になった顔を狂わんばかりに振り乱しながら、それでも彼女は抵抗をやめなかった。
最早、どんな痛みも彼女を止めることはできなかった。それほどまでに、彼女は恥辱を拒否した。
しかし、そんなささやかな抵抗で何かがかわるはずなど、土台なかったのだ。シエラの秘唇を長々と視姦して堪能した後、
とうとうブヨブヨのず太い触手はその先端を少女の体内へと滑り込ませる。少女の純潔を守るはずの膜はいともたやすく
破られ、鮮やかな朱が青い触手にまだらに飛び散る。
「ぎゃがは〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!!!!!!」
とても少女とは思えない凄まじい悲鳴をあげ、シエラは身体を激しく痙攣させた。自らの陰部に異物を挿入されるという
経験がはじめてであること、それが愛撫もなく突然無理矢理に行われたこと、何より彼女の器はあまりに小さくまた
触手があまりにも大きかったがために、初体験の痛みはまさに筆舌に尽くしがたい、途方もない規模で彼女に襲い掛かったのだ。
それはその一瞬、それまで彼女を苦しめていた他の多くの苦痛から完全に解放されてしまうほどであった。
「ぎがが…がが…がへっ…ぐえぁ…!!」
本体の以上に緩慢な動きからは想像できない、触手のその激烈なピストン運動に合わせ、すでに悲鳴にも聞こえぬような奇声をあげ、
シエラは大きく動かした。いや、動かされた。それにより、またさらに他の傷が大きく開いていく。
次第に意識が遠のいていく。もはやどうにもならない。絶望が深く彼女の心を侵しはじめたそのとき…シエラは異変に気づいた。
痛みを感じない。
いや、むしろ、気持ちよくすらある…?狼の牙が抜かれ、また刺されるたびに。虫に魔力を吸われるたびに。触手に激しく膣内を
責められるたびに。死ぬほど痛かったはずなのに…何故かそれが、むしろ今は死ぬほど気持ちよくなっている…?
「あ、あへぁ…な、なにこりぇへぇぇ?」
あまりの快楽に、呂律が回らない。
「ふああぁ…ひゃめ、ひゃめへ…にゃ、にゃんれこんにゃはぁあ…っ?」
彼女には知る由もなかったが、それはブヨブヨの体液のせいであった。あらゆる苦痛を快楽へと変える特殊な成分が、その体液には
大量に含まれていたためだ。すなわち、痛みが強ければ強いほど、それは強い快楽へと変わる。
死ぬほどの苦痛が、死ぬほどの快楽へと変わる。生まれてこのかたただの一度も、性行為は愚か自慰さえしたこともない彼女は、およそ
快楽とは無縁の生活を送ってきた。そんな彼女が感じた生まれてはじめての性的快楽こそがこれである。そんなもの、
まだ肉体も精神も成熟していないシエラに、抗えようはずもなかった。
「あはっ、あひゃあぁ…きも、きもちいひぃいい!!」
彼女の顔をぬらすのは、血と汗と涙と、そしてもはや止めることのできない涎であった。上の口からも下の口からも、止めようもなく
涎が流れ続けた。先ほどは痛みが大きく反らせた肉体を、今度は快楽がそうさせる。結果は当然、傷を深くするだけだが、それがさらに
快楽を高め、彼女をよがらせ、そしてまた深く傷つけ、また喘がせる。
繰りかえし。ただひたすらにその繰りかえし。少女は嬌声を上げ続け、男たちは下卑た嘲笑を浴びせ続ける。
少女は最早抵抗をやめ、苦痛と快楽を受け入れてしまった。
狂乱の宴は、この後エーヴェルが救出に現れるまで延々と続いた…。


これが、シエラ・グランベル…後の聖女騎士団長シエラ・レンスターの初体験であった。
この後誰よりも高潔に、誰よりも強く成長していくこととなる、そんな彼女の心の奥底にこの体験は小さな小さな傷を植えつけた。
苦痛と快楽。それに溺れてしまった記憶は、二度と彼女の心の深層を去ることはなかった。
たとえ表層においては、その強い意志で完全にそれを忘れ去ってしまったように見えたとしても。
そしてそれが…やがて彼女の破滅へと繋がっていくこととなるなど、まだあどけないシエラにどうして知る由があっただろうか…。


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