かつて魔女王クレオ率いる魔女王国イサドラとの戦争”魔石大戦”を戦い抜いた6人の英雄達。
大戦終結より19年、彼女達は鍛錬を怠ることなくすでにその強さは一人一人が神たる
十二神王、それもその上位の神々にさえ匹敵するほどとなっていた。
彼女たちの存在があるが故に、十二神王は思い切った行動が取れず、戦線はいわば膠着状態に
陥っていた。
だがしかし、十二神王には彼女がいた。
十二神王の第4位、呪王アスクラヴィス。
その名が示すとおり呪いこそが彼女の本分ではあったが、最も得意とするところは、その頭脳から
つむぎだされる卑劣かつ凶悪な策の数々であり、それにより相手の精神をジワジワと、少しづつ
毒が回っていくように破壊することであった。
一人でも神と戦える実力を持つといえど、彼女達は人間であった。それぞれが妻であり母であり娘であり
師であった。愛する者を盾に取られては本来の実力など到底発揮しようがない。
そうして一人一人捕らわれた彼女達は、呪王の造った特殊な鎖で身動きを封じられ、口枷を嵌められて
非常に狭い空間へ6人まとめて押し込まれた。部屋の中は常人なら到底耐えられない高温に満たされている上に
ほとんどまともに身動きのできないすし詰めの超過密状態。抑えようもなく流れ落ちていく滝のような汗。
必死に逃れようともがくものの、力をこめればこめるほどに鎖は戒めるべき者の魔力を吸収してより強く
その肉体を縛りつけ、口枷もまた魔力を流れ落ちる涎とともに体外へ流し去っていく。
徐々に徐々に、状況は彼女達の魔力や体力を奪っていく。そして、かつてどれほどの絶望をも跳ね除けてきた
その強靭な精神をさえ、絶望で蝕ませずにはおかなかった。
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