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シノン騎士団で唯一、空を飛ぶ飛竜に乗り、天を駆ける竜騎士ラレンティア。その戦闘力は
絶大であり、その勇壮な姿は味方に勇気を与え、敵には恐怖の対象となった。
しかし彼女の功績はそれだけではない。空から戦場を見ることの出来る彼女は得られる情報の量で
他を圧倒しており、斥候としても大いに活躍した。かなりの劣勢にある同盟軍のなかでも
困難な任務を数多く成功させてきたシノン騎士団の躍進の影に、彼女の貢献が大であったことは
言うまでもない。
だが、それゆえにいつしか彼女は敵から激しい憎悪を向けられ、優先的に狙われるようになる。

ある日、斥候任務についていた彼女を悲劇が襲う。
とある荒野に敵兵が展開しているとの情報を得、彼女がその調査に向かったのだ。
しかし、そこには何もなかった。いるはずの敵兵がどこにもいない。
誤情報だったか、そう判断した彼女が自軍へ戻ろうとしたとき、突如巨大な矢が愛竜の腹を貫いた。
「っ!!バリスタ!!!?」
何もないはずの荒野から、突然の攻撃。
信じられない現象を目の当たりにした彼女は、一つの考えにたどり着く。
「消失の魔石」。それを使えば敵から一時的に自らの姿を見えなくさせることが出来る。
恐らくそれで身を隠し、攻撃してきたのだろう。

「ぐああっ!!?」
轟音とともに飛竜は地に落ち、その主人もまた共に大地に叩きつけられた。
「くっ…う…」
右手、それに両足の骨が恐らく折れている。まともに身動きすら取れない。
「あっ…!?」
そんな激痛にあえぐ彼女を、突如現れた大勢の兵士達がとりかこんでいた。
彼らも同様に消失の魔石を使用していたものらしい。
(これは…まさか…)
はじめから仕組まれていたのだ。この荒野にいるという敵兵の情報。まずそこから
罠だったのだ。全て、彼女を抹殺するための。

そこからは、一方的ななぶり殺しだった。
何とか逃げようとする彼女を、男たちは少しづつ傷つけていく。
ゆっくり、ゆっくり、彼女に苦痛と絶望を植えつけていく。
「もったいねぇな、こんないい女を」 
「こいつのせいでどれだけの味方がやられたか忘れたか?」 
「とことんいたぶり尽してからできるだけ残酷に殺せってな命令だからな」

その後、すんでのところを仲間の軍に救出され、彼女は重傷者の救護所となっている街の修道院へと
運ばれ、シスター達による必死の看護が続けられた。
「あう…ああ〜〜っ!」
「痛…い、痛い痛い〜!!」
「あぁ…あ…リース…様…リース、さ、ま…」
「ラレンティアさん、しっかり、しっかりしてください!!」
「ダメだラレンティア…!約束しただろう!もう勝手にいなくならないと…!」
 「申し訳…ありません…まだ何の…ご恩返しも、できず…に…」
「ラレンティア…もういい…もういいんだ…!」
「リ、ス…さ、ま…ご、ごぶ…ご武、運、を…」

シスターは懸命に魔法による治療を行ったが、あまりに、彼女の受けた傷が深すぎた。
そして、あっさりと、ラレンティアは息を引き取った。まだ若い女騎士の、それはあまりにも
早すぎる死であった…。








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