――病み世も世なら、闇夜もまた夜なり。 影も映らぬ丑虎の刻には病んだ魂を持った亡者が多く蔓延るという‥。 ‥すなわち是、“鬼”の棲む刻なり――。 【Episode1 〜鬼忍者 参上!〜】 : 「きゃぁぁあ」 摩天楼の影に女性の悲鳴が木霊する! 腰を抜かして身動きが取れないOL風の女性。 その視線の先には異形の影が蠢いていた‥。 首2つに腕4本、しかし足が無いその塊は 不器用に、かつ不気味に地面を這っては ゆっくり女性に近づいている。 『ぎぎゃぎぎ、お‥女‥若い女ぁ‥喰わせろぉ』 その場で固まって動けなくなった女性に尚も近づく黒い影。 女性は渾身の力で助けを求めた。 「‥だ、誰か。助けてえぇえ」 ―その時 「そこまでだ、六角!」 『ぎぎ?』 六角と呼ばれた化け物が振り返ると 月明かりに照らされた真紅の影がそこに立っていた! 銀色の髪に2本の角。黒いバイザーの奥には金色の瞳が輝いて見える。 豊満でありながらも締まった肉体。その魅力的な曲線のシルエットは タイトなボディスーツにより守られていた。 「人を襲うだけの化け物に堕ちた者を、このまま放っておくわけにはいかないっ! 六角鬼 群裂(ムラサキ)! ‥鬼忍者が里の掟によりお前を滅却するっ!」 彼女の名は鬼忍者 紅(ベニー)! 里に代わり抜け忍となった鬼を滅却する闇夜の仕置き忍である! |
: : 紅は思わぬ苦戦を強いられていた。 一瞬の油断。その隙を見逃さなかった六角鬼は闇隠れの術を使い 巧みに紅の背後を取った! 絡みつく4本の腕を振りほどこうともがく紅。 しかし六角鬼は更に力を強めじわじわと紅の身体を締め上げていく! 『‥ぎぎ。どうだ苦しいか。苦しければ喘げ。喘いでもっと俺を愉しませろ』 そう耳元で囁くと、六角鬼は下半身を締め上げていた腕を 今度は紅の股間に伸ばし、その奥にある敏感な部分をまさぐりはじめた! 「や、やめ‥ろ。この外道っ!」 『ぎひひぃ。どうだ?憎き里の裏切り者に身体を弄ばれる気持ちは‥?』 「くっっ!やめろっ!‥っやめろぉ!」 しかし気持ちとは裏腹に紅の秘部からは甘い蜜が滴りはじめたいた。 |
: : 『ぎぎっ。そろそろ楽にしてやろう。このまま死‥っうぐっ!!!』 身体を締め上げていた力が急に弱まる。 「大丈夫!? 紅っ!?」 「‥その声は? ‥藍さん!!」 : : 駆けつけた仲間、鬼忍者 藍に助けられ窮地を脱した紅。 六角鬼も無事滅却した二人は里に向かって再び歩き出した。 「それにしても‥ほんっとに危なっかしいわねぇ。紅は。」 藍がふざけて紅をからかう。 「そ、そんなことないです。今回はちょっと油断しただけですから。」 紅は思わずムキになるも心の底では自分の非力さを痛感していた。 「いくら油断したからって。相手は“六角”で私達より相当下の筈よ?」 藍が紅に追い討ちをかける。 「そ、それは‥」 もはや反論も出来ず紅がしょげてうつむくと藍は優しく肩をポンと叩いた。 「まぁまだ当分は一人立ちは無理ってことね。いいわ。任せなさい! 里のエース“一角”の藍先輩が可愛い後輩の面倒みてあげるからさ」 「けっ、結構ですっ!私だってランクは“二角”ですから! もう少し実戦経験を積めば、私だって藍さんみたく―。」 「あら、紅ったらムキになっちゃて可ぁ愛いぃ〜。はいはい。わかった、わかっ た」 調子付き今度は頭を撫でようとする藍の手を紅は振り払った。 「藍さんは全っ然わかってないです!‥っもう!」 東の空が眩しく輝きはじめた。戦いを終えた二人に笑みがこぼれる。 : : そんな2人を遠くから見つめる一人の女性がいた。 『やっとみつけたわ、‥紅。私が産み落とした、‥‥ただ一人の罪』 |
――夜が明けても、また新しい夜はやってくる。 鬼忍者の戦いはまだ終わらない――。 To Be Continued..! |