目が覚めるとジャスミンは音ひとつない暗闇の中にいた。 身体は特殊な縄で締め上げられ身動きが取れず、口にも拘束具がはめられ声すら あげられない。 「はははは。なかなかセクシーな格好ではないか、デカイエロー。」 静寂を破り下衆な笑い声が響く。 「(その声は、エージェント・アブレラ!!)」 宇宙の裏世界を牛耳る闇商人。姿は見えないが、きっとどこかでこの様子を愉し んでいるに違いない。 姿無き敵を睨みつけるかのようにジャスミンは目の前の闇をじっと見据えた。 すると‥ ‥‥ぽたっ 天井が一瞬光ったかと思うと、何かの雫が頬に当たった。 「(水‥滴‥‥??)」 と思うか否か、ジャスミンの神経に稲妻が走る。 じゅうぅぅぅ 「(‥ぐっ‥‥あ、熱い!!)」 そして、まるで身を焼かれているかのような痛みが全身を突き抜けた。 「ははは、どうだ。その粘液は宇宙でも指折りの強酸をベースに俺が作り上げた オリジナルブレンドだ。 お前の身体などデカスーツごと跡形も無く溶かすぞ。」 「(‥‥っ‥)」 ジャスミンは息を呑んだ。こんな物が無数に自分の身体に降り注いできたら、ひ とたまりもない。 しかし強酸の雫はどんどん数を増し、ジャスミンの対峙する天井の闇から無数に 降り注いでくる。 ぽた、ぽたっ‥ぽた、ぽた ジャスミンの理性が崩壊するのに、さほど時間はかからなかった。 ‥ぽたり じゅぅぅっぅぅ 「んぐぅんんんう゛んんんっ!!!!!」 痛みとともに、ジャスミンの視野が塞がれる。 一適の雫がジャスミンの瞼に落ち、その瞳ごと消し去ったのだ。 その瞬間、あまりにも激しすぎる苦痛に鍛え上げたジャスミンの心と肉体も無残 に引き裂かれてしまった。 華奢な身体は限界まで弓なりにのけ反り、拘束具を咬まされ叫び声すら上げられ ない口からは声にならない悲鳴が響く。 「んぐぅんんんう゛んんんっ!!!!!」 ‥‥ぽたっぽたっ じゅぅっ、じゅゆぅじゅーー ‥ぽた、ぽた じぅっ、じぅじゅぅぅぅーーー 「ん゛ん゛んんぅんん゛ーーー」 胸、腿、膝、肩‥。落ちた粘液は身体のいたるところをいとも簡単に溶かし、 そのたびにジャスミンの身体を幾度と無く壮絶な痛みが襲った。 半狂乱になって身体をよじり泣き叫ぶ彼女にいつものクールな戦士の面影はない 。 髪を振り乱し腰をくねらせ悶絶する姿は、まるでストリップショーで妖艶に踊る 娼婦のようですらあった。 再び、闇の彼方からアブレラの笑い声が響く。 「ははっははははっ。これで残るデカレンジャーは後4人‥。 そうだな‥。‥次は、あのバカそうなピンク色のやつでも痛めつけてやるとしよ う‥。」 ‥その声を最期に、闇はまた冷たい静寂に包まれた。 ‥かすかに響くのは一適一滴したたり落ちる雫の音と、くぐもった女性の声無き 悲鳴だけである‥‥。 |