「何、何?スッゲェじゃん!・・・このまま、ラスボスまで行っちゃおっか?」

あっけらかんと、とんでもない事を口にするセイバーイエロー。

「な、何言い出すの!蛍ちゃん!!」

いきなりの提案に驚くセイバーブルー。

「・・・悪くないわね。」

「ちょっと、真夜!?」

反対してくれるとばかり思っていたセイバーノワールがセイバーイエローの提案に乗り気な事に驚くセイバーブルー。
セイバーノワールはセイバーブルーに理由を説明する。

「考えてもみて、私達は敵の本拠地にいるのよ?
ここで、ケリを着ければ・・・戦いは終わって、誰かが殺される事も減る!」

「・・・玲奈ちゃんと陽子は?
やっぱり戦うの?」

「うん!・・・もう、誰も・・・恭子ちゃんみたいに死んでほしくない!!」

目の前で無残に恭子を殺されたセイバーピンクは、特に想いが強く、考えを変えられそうになかった。

「あたしは、ちょっと違うかな。
逃げ出すのに必要だと思うけど、戦って勝てるって・・・思えないよ。」

「じゃあ、反対なの?」

「・・・でも、ここでケリを着けるなら、反対しないよ。」

「・・・決まりだね?」

「・・・仕方ないわね。」

説得を諦めるセイバーブルー。
五人の少女戦士達は、意を決して駆け出す!
目指すは、大将首!!


いくつもの部屋を捜し回り、その果てに広大な部屋を発見したセイバーV。

「ここ・・・かな?」

「・・・みたい・・・ね!」

強烈な殺意を察知したセイバーノワールは、気配のする方へチャージショットを放った!

「消えた?!」

極太のビームが突然、掻き消える!

「・・・無礼な小娘共め!」

得体の知れない声が響く!

「こ、この声は・・・」

「戸惑ってる暇は無いよ!
一気にキメる!!!」

「うん!」

「MAXバスター!!」

それぞれの武器を組み合わせ、最強武器MAXバスターを完成させる!

「これで・・・この戦いを終わらせる!
シュート!!!」

しかし、何も起こらなかった。

「え?な、なんで!?」

「ふん、愚か者めが!!!
我が前で、その様なガラクタが使えると思うなァッ!!!!」

「きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!
!!!!!!!」

激烈な雷撃がセイバーVを襲う!
雷は、五人の全身にまとわりつき、強化スーツを蹂躙し、大爆発させる!

「あぁ・・・ああぁ!」

たった一撃で、強化スーツをボロボロにされたセイバーV。

「くっ・・・み、みんな!」

セイバーピンクの声で、五人は、それぞれの必殺技用のカードを抜く!

「?・・・ああぁ?!」

カードホルダーから、カードを抜いた瞬間、何の前触れも無くカードが燃え尽きてしまう!

「ど、どうして?」

「どうした?来ないのか?・・・ならば、こちらから行くぞ!」

「きゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

いきなり五人の、胸の強化スーツが左右で連続して大爆発を起こす!

「な、何が・・・一体?」

いかなる攻撃をされているか、全く判らないまま、一方的に攻撃され続けるセイバーV!

「み、みんな!私が全力で突っ込むから、援護して!」

桜色の光に包まれるセイバーピンク!

「やああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

五対十枚の翼を羽ばたかせ、セイバーピンクが突っ込んで行く!
が・・・!

「え・・・?・・・う、動けない?!」

かなりの高速で飛翔していたにも関わらず、いきなり空中で停止してしまうセイバーピンク。

「玲奈!」

四人は跳び、セイバーピンクを救出しようとする!

「ああぁ?!」

どこからともなく飛来した触手がセイバーVを、悉く捕縛する!

「ふふふ・・・なかなか良い様ではないか、小娘共?」

「くっ!この程度で!!!」

光の出力を上げるセイバーピンク!

「きゃあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」

四人の悲鳴と無数の爆発音が響く!

「みんな!・・・な?何が・・・?」

「ふふふ、貴様の光の力を、あやつらにも分けてやろうと思ってな。」

触手を介してセイバーピンクから、他の四人へ膨大な光の力が流し込まれていた!

「ああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

爆炎に包まれる四人!

「や、止めてぇ!!!!!」

「うあっ!ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

セイバーピンクの悲痛な叫びを嘲笑うかの様に、激しく大爆発を起こす四人!

「くぅっ・・・ああぁっ!」

爆砕された強化スーツの破片が、舞い散る中、桜色の光が輝く!
しかし、希望の光となるべき光は、仲間を傷つけ、死に追いやろうとしていた。

「クックックッ・・・良い足手纏いだな?」

「くっ・・・な、何も・・・できないなんて・・・ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

「こんな時に・・・足手纏いにしかならないなんて!」

「きゃあああぁ!!・・・こ、こうなった・・・ら!・・・ダメ元でぇ!!スラッシュウインドッ!!!」

「何ぃ?!」

巻き起こる風刃が触手を斬り捨てる!

「みんな!」

ボロボロになりながらも、闘志を失わないセイバーV!

「ここでケリを着ける!」

「でも、さっきみたいに・・・」

さきほど発射できなかった事を心配するセイバーブルー。
なにしろ、拘束から逃れたとはいえ、後が無い事に変わりは無かった。
そんなセイバーブルーの不安を打ち消す様に、セイバーホワイトが言う!

「大丈夫!今度は通用する!!
みんな!この要塞そのものを、ブッ飛ばすよ!!」

「え?」

「な、何を?いきなり?」

「・・・そっか!」

「いくよ!みんな!!」

「MAXバスター!!」

「?カードが・・・使える!」

今度は、カードが燃え尽きない!
このチャンスを逃せばセイバーVに勝機は無い!!

「相手は・・・ここ、そのもの!シュート!!!」

狙いをつけずに発射し、部屋そのものを破壊しだすセイバーV!

「こ、小賢しい真似を!
調子に・・・乗るなぁっ!!!!!」

「きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!
!!!!!!」

再び得体の知れない力に吹き飛ばされるセイバーV!

「な、何が・・・?」

「絶望しろ・・・!」

「きゃあっ!きゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

強化スーツのバックルが爆破され、そのまま強化スーツ全体が断続的に爆発する!

「ああぁ・・・うぅ!」

「貴様らの強化スーツの防御力以外の全ての機能を破壊した。」

「くっ・・・くぅっ!これぐらいで、絶望するもんか!!
ガイアハルバート!」

激しく傷付いていたものの、諦めないセイバーイエロー!

「そうか・・・死ね!」

「そんな?!ガイアハルバートが?!」

突然、砕け散るガイアハルバート!

「うあっ!?」

突如、何かがセイバーイエローの胸を貫通する!
次の瞬間、胸の強化スーツが大爆発し、次いで大量の血が胸から噴出した!

「ほ、蛍ちゃん?!!」

セイバーイエローが、セイバーピンクの叫びに応える事は無かった。

「蛍ちゃん・・・よくもぉっ!!」

親友を殺された怒りで、セイバーブルーが突貫する!

「無駄な事を・・・貴様も後を追え!!」

「きゃあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」

強化スーツが、いきなり斬り刻まれた!
そして、強化スーツが大爆発し、セイバーブルーの青い強化スーツが出血で、赤黒く染まっていく!
セイバーブルーは、自らの血の海に倒れた。

「そ、そんな・・・蛍ちゃん・・・智美ちゃん・・・!」

呆然と立ち尽くすセイバーピンク。

「次は、お前だ!!」

セイバーピンクに狙いを定める!

「玲奈!危ない!!・・・きゃあ!きゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」

セイバーホワイトがセイバーピンクを庇い、割って入る!
セイバーホワイトの強化スーツが無数の爆発を起こし破壊されていく!

「よ、陽子!!!」

「きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!
!!!!!!」

セイバーホワイトが一際、大きく爆発する!
爆煙が晴れた後に残ったのは、破壊し尽くされた強化スーツを纏い、全身を焦がした陽子が倒れていた。

「陽子・・・!」

「なかなか、泣かせるではないか・・・ならば、次は・・・お前だ!!」

「うあっ!ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」

足元から突然沸き上がった闇に浸食され、分解されていくセイバーノワール!

「真夜っ!!」

「来ちゃダメっ!!貴女も呑み込まれる!!!」

「でも!」

「こ、これを!」

セイバーノワールは、自らのブレスレットを表出させ、セイバーピンクに託す。

「玲奈・・・わ、私達の・・・世界を・・・護っ・・・て!」

「真夜ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

セイバーノワールは、塵一つ残さず消滅した!

「さぁ、残ったのは、お前一人だ!」

「きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!
!!!!!!」

セイバーピンクの強化スーツが斬り刻まれ、断続的に大爆発を起こす!

「あ、ああぁ・・・!」

全身を激しく爆発させながら、倒れるセイバーピンク!
そのまま変身が解け、制服姿へと戻ってしまう玲奈!

「終わりだな・・・死ね!!」

「うぅ!・・・みんな!私に力を!!」

その時、セイバーVの五つのブレスレットが光り輝く!

「な、何が・・・?」

ブレスレットから、コアである宝玉が飛び出し、融合する!
そして、融合した宝玉は、玲奈のブレスレットに戻った。

「こ、これは・・・?
使える!何故かわからないけど・・・私には使えるのがわかる!
・・・みんな!私、戦う!諦めない!!
セイバーV!!」

玲奈の制服が分解され、ブレスレットから、放出された光の粒子が全裸の玲奈に強化スーツとなって固着する!
変身完了した姿は、今までのセイバーピンクとは違っていた。
その名は、セイバーV!
散った四人の魂とブレスレットが、セイバーピンクに全てを託した姿だった!

「これは・・・今までとは全然違う・・・凄い力が沸き上がってくる!」

「ほぅ、多少はマシになったか・・・」

「セイクリッドブレード!!」

新たな剣を手にするセイバーV!

「はあああああああああっ!!」

気合いを込めてセイバーVは、セイクリッドブレードを振るう!
その斬撃は、要塞上部を完全に吹っ飛ばした!

「・・・調子に乗るなよ、小娘!!!」

「はっ!」

再び、五対十枚の光の翼を羽ばたかせるセイバーV!

「みんなの仇!覚悟!!」

光の矢と化して突撃するセイバーV!

「笑わせるな!小娘ェッ!!!」

「そ、そんな・・・きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」

突然、セイクリッドブレードが砕け散る!
強化スーツが斬り刻まれて断続的に大爆発を起こす!
自身に何が起こっているのか理解する前に、セイバーVは、強化スーツをズタズタに破壊されてしまった!

「うぅ!・・・くぅっ!・・・」
激しく傷つきながらも、立ち上がるセイバーV。

「終わりだ!!」

「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

セイバーVの四肢に、不可視の何かが刺さり、壁に磔にされる!

「止めだ!!」

「きゃああぁぁぁ!!」

そして、セイバーVの心臓にも・・・!
セイバーVは、全滅した。
絶望を斬り払う希望の刃は、もう無い。


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