玲奈の許へと急ぐセイバーVに、怪人4体が立ち塞がる!

「何・・・アイツら!」

4人のセイバーVの前に立ちはだかっているのは、触手を不気味に蠢かせるいそぎんちゃく型の怪人。
ゼリーが人型をした様な、スライム怪人。
岩の集合体がマグマを介して人型を成した溶岩怪人。
そして、大きく鋭い棘と無数の触手が背中合わせに付いた、一番わけのわからない姿の怪人の4体だった。
4体の怪人の間から、この場には、似つかわしくない年の頃10歳頃の少女が現れる。

「へぇ〜、お姉ちゃん達が弱っちぃ癖に、ラルア達の邪魔ばっかしてる・・・え〜っと・・・なんてったっけ?
・・・あっ、そうだ!セイバーV〜だっけ?」

「・・・生憎、子供と一緒に遊んでられる程に暇じゃないんだけど?」

ラルアの人を喰った態度に、苛立ちを隠さずに刺々しく言う真夜。

「え〜〜、ラルアと遊んでくれなきゃヤダァ〜〜〜!!」

駄々っ子の様に、ジタバタしながら言うラルア。

「も〜〜怒った!・・・ラルアと遊んでくれないなら、お姉ちゃん達は、ラルアと怪人達でイジメやるんだから!!」

「みんな!変身して!!」

「え?でも、相手は子供なのよ?流石に、それは・・・」

ラルアの殺意と実力を感じた陽子は、皆に変身を促すが、智美は子供のラルアを相手に変身を躊躇う。

「変身しなかったら、一瞬で殺されるわよ!」

「え、えぇ・・・」

真夜の言葉に躊躇いを払拭しきれないながらも、智美は、変身を決意する。

「作戦会議は、終わったぁ?
じゃ、まずはラルアか・・・ら!!」

「セイバーV!!」

4人の少女の制服が、光の粒子に分解され、ブレスレットへと格納させて、入れ替わりに各々の色の粒子が
ブレスレットから噴出する。
光の粒子が4人の少女達を覆うと、セイバーVの強化スーツが形成されて、少女達は戦士への変身を完了する!
変身完了した4人が身構える前に、ラルアが、目にも止まらぬ速さで突っ込んできた!

「なっ?!」

「ほっぱー・きぃっく!!」

セイバーノワールの腹部に、飛蝗と同じ脚に変化したラルアのキックが突き刺さる!

「ぐはぁっ・・・」

「とりゃあ!」

セイバーノワールの腹部に刺さった右足をそのままに、左足で、セイバーノワールを蹴り上げるラルア!

「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「真夜!!このぉ!子供だからって容赦してやんないわよ!!」

セイバーイエローがラルアに殴りかかるが、ラルアは、セイバーイエローのパンチを軽く掻い潜り、右手をカブト虫の角に
変化させると、セイバーイエローの腹部に強烈なアッパーカットを叩き込む!

「びぃ〜〜とる・あっぱー!!」

「うああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

くるくると回転しながら、宙を舞うセイバーイエロー。

「蛍!おイタが過ぎるなら、お仕置きよ!!」

セイバーホワイトは、フォースブラスターをスタンスティックモードで抜き、ラルアにむけて振るう!
が、ラルアは左手で受け止めると、右手でセイバーホワイトのFカップの巨乳を鷲掴みにする!

「いいなぁ、何食べたら、こんなにおっきくなるの?」

セイバーホワイトの巨乳を、揉みしだくラルア。

「し、知らないわよ!このっ!!」

羞恥心から、ラルアを払い除けようと左フックを放つセイバーホワイト。
しかし、ラルアは軽々とセイバーホワイトの拳を受け止めた。

「乱暴だなぁ、お姉ちゃん・・・だったら、こっちも・・・」

ラルアの瞳に、殺意がみなぎる。

「すたっぐ・ぶれーど!!」

ラルアの右腕が、鋸鍬形の大顎へと変化する!

「きゃっ?!・・・ああぁ!」

ラルアは、挟み込んだセイバーホワイトをギリギリと締め上げると、そのまま持ち上げて、放り投げる!

「きゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「陽子!!・・・いくらなんでも、やり過ぎよ!」

「・・・あのさぁ、お姉ちゃんさぁ、ラルアは、お姉ちゃん達の敵なんだよ?
別に、せんのーなんてされてないし、ラルアは、楽しいからしてるのに、なんで、お説教するみたいに言うの?」

「それは・・・貴女が子供なのに・・・きゃあ!」

「弱っちぃ癖に、子供扱いしないでくれる?・・・まんてぃす・かったー!」

ラルアの瞳に、狂気じみた殺意が宿ると、両腕を蟷螂のソレに変化させ、セイバーブルーをX字に斬りつける!

「きゃあ!きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

火花を散らしながら、吹っ飛ぶセイバーブルー。

「みんなぁ!・・・あの弱っちぃお姉ちゃん達を、ギタギタにのしちゃえぇ!!」

4体の怪人達がセイバーVに襲い掛かる!

「く・・・な、何アレ?」

ラルアに蹴り飛ばされたセイバーノワールに、腹から無数の大きな棘を生やし、背中からも無数の触手を生やした奇怪な怪人が、
ブリッジの姿勢のまま、セイバーノワールに迫っていた。

「・・・あ、あれは・・・ま、まさか・・・?」

普段の冷静さに代わり、セイバーノワールを恐怖心が支配する。

「ひっ・・・こ、来ないで・・・」

何故か怯えるセイバーノワールを無視して突進してくる怪人!

「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

そのまま撥ね飛ばされるセイバーノワール!

「くっ・・・うぅ・・・ひぃっ?!」

「なぁに、黒いお姉ちゃん、そんなのが恐いの?おっかしぃ〜!キャハハハ!」

怯えるセイバーノワールを嘲笑うラルア。

「んとね、その子は、ハルキゲニアってヤツの化石から作ったんだって。
他にも、色んな能力を持たせた自信作なんだって。」

「真夜!しっかりして!!・・・うあっ!ああぁ!!」

スライム怪人と戦い、スライム塗れになりながらも、セイバーイエローが気遣うが、その隙に、怪人の爆裂弾を、まともに受けて
強化スーツが激しく爆発する!

「ほ、蛍!・・・ああぁ!いやああぁ!!」

恐怖に負け、惨めに後退るセイバーノワールを、いつの間にか立っていたハルキゲニア怪人が触手を伸ばして捕縛する。

「い、いや・・・放して・・・こっちへ来ないでぇ・・・」

完全に怯え、パニックになるセイバーノワール。
セイバーノワール・黒崎 真夜は、元々、この世界の人間ではなく、異世界ナハトの出身であった。
夜の世界と別称されるナハトの者には、他人の精神に介入する能力があった。
ナハトを滅ぼされ、両親を亡くした真夜は、この世界に迷い込み、古生物学者の黒崎夫妻に拾われ、面倒をみてもらっていた。
黒崎夫妻が当時研究していたのは、バージェスモンスターであり、幼い真夜は、自身の能力の制御がおぼつかずに、よく夫妻の
夢の中へと入ってしまっていた。
その夢の中で、巨大なバージェスモンスターに追いかけ回された挙げ句、喰われるといった事が何度もあり、この世界の人間より、
はるかに夢の中での感覚が鋭敏(夢の中での感覚を現実のモノとして感じてしまう)な為、バージェスモンスターは、すっかり
真夜のトラウマになってしまった。

「は、放してぇ・・・や、やだ・・・いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「えらっそうな事、言ってた割にカッコ悪ぅ!・・・殺っちゃえ・・・とびきり残酷に!!」

「うああぁ!ああぁ!・・・ああああああああああああああ!!!!!」

ハルキゲニア怪人の腹側の棘が伸びて、セイバーノワールの強化スーツに刺さる!

「あ、ああぁ・・・ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

棘が真夜の身体にまで届かなかったのは、不幸中の幸いだったが、セイバーノワールを高圧電流と強電磁界が強化スーツに
流し込まれる!
棘が刺さった箇所の強化スーツが爆ぜて、内部メカが露になる。

「うあっ!ああぁ!うぅああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!ああぁぁぁぁぁぁ
ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

尚も流し込まれる高圧電流と強電磁界がセイバーノワールを苛み、強化スーツが激しく爆発し続ける!
爆炎に包まれるセイバーノワール!
強化スーツの破壊箇所が、徐々に増え、露出した内部メカが火を噴き、より大きな爆発が起きる!

「うあっ!くうぅっ!ああぁ!うぅ!あぁ!あ、ああぁ!うああああぁ!」

ハルキゲニア怪人の指から鋭利な爪が伸び、セイバーノワールを斬り裂く!
斬り裂かれた強化スーツや内部メカが砕けて、爆発を伴って飛び散る!

「アッハハハ!ザマァないね!!黒いお姉ちゃん?
さぁて、次は誰のトコへ行こっかなぁ?」

苛烈な強電磁界と高圧電流と爪斬撃に苦しむセイバーノワールを尻目に、まるで、次に遊ぶ玩具を選ぶかのように、戦い続ける
セイバーVから、獲物を選ぶラルア。

「くっ!このっ!!」

ガイアハルバートを振り回し、スライム怪人と戦うセイバーイエロー。
しかし、斬った直後にくっついて再生する上に、殴ろうが蹴ろうが、岩を投げつけようが、岩盤で叩き潰そうが、スライム怪人
には、まるで効果が無く、ダメージを与えられなかった。

「ヤバい・・・このままじゃ、こっちがヘバっちゃう・・・どうしよう・・・?」

全ての攻撃が徒労に終わっているセイバーイエローに、疲労の色が見え始めていた。

「はぁ、はぁ・・・あれは・・・核?」

スライム怪人の半透明の体内に、謎の球体を見つけたセイバーイエロー。

「一か八か・・・アレを、狙う!!」

意を決し、ガイアハルバートにカードを挿入して、突撃準備をする!

「はああぁぁぁぁ!グランドインパクト!!」

セイバーイエローの猛烈な突進は、寸分違わずスライム怪人の核と思われる球体に命中する!

「え・・・?」

しかし、核と思われた球体は、ガイアハルバートの切っ先が刺さると同時に分解してしまう。

「まさか、罠?!・・・ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

ダミーだった事に気づいた時には、既に遅く、スライム怪人は自爆して、粉々になったスライムがセイバーイエローに大量に
掛かる!
セイバーイエローの鮮やかな、黄色とパールホワイトの強化スーツが、半透明の緑色の粘液に塗れる。

「何よ、コレぇ・・・う、気持ち悪ぅ・・・」

さすがに強化スーツ内には浸透していないが、気分の良いモノではなく、強化スーツにへばりついたゼリー状の粘液を
取ろうとするセイバーイエロー。

「?!・・・と、取れない?」

スライム怪人の残骸を、懸命に取ろうとするセイバーイエローだったが、へばりついたスライムは全く剥がれず、あろうことか
強化スーツを溶かし始めた!

「そ、そんな強化スーツが?!と、溶ける?!うぅ、くうぅっ!・・・ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

セイバーイエローの胸やスカートに貼り付いたスライムは、強化スーツの生地を侵して溶解する!
スライムは、強化スーツの内部メカに浸入し、破壊しだす。

「ん、くうぅっ!ああぁ!・・・うあっ!うああぁ!ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

溶解しだした強化スーツが激しく爆発を繰り返す!

「くっ・・・こうなったらぁ!!」

セイバーイエローは、ベルトのバックルを展開させて、フォースブラスターのグリップを外して、バックル内のコネクターに
接続する!
膨大なエネルギーが強化スーツを駆け巡り、セイバーイエローの全身至る所で大爆発が起こる!

「ああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」

激しい爆発にスライムは、砕け散る!
が、砕けたスライムは、再び結集して怪人に再生する!

「い、一体・・・どうなってんのよ!キリがない・・・」

自爆紛いの危険な手段を使っても、ろくなダメージを与えられなかったセイバーイエロー。
なおも、襲い掛かるスライム怪人を、セイバーイエローはガイアハルバートで迎撃する!

「たぁっ!!・・・そんなっ?!!・・・ガイアハルバートが・・・?」

セイバーイエローは、逆転できるのか?


BACK