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 夜道を芳香は、急いでいた。兄弟全員が反対をする中、コッソリと家を抜け出して、
街に繰り出していた。
(せっかく、バンキュリアを倒したのに、外出禁止なんてひど過ぎる!
私、あんなに、がんばったのに・・・・)
前回、夜遊びが原因で吸血鬼にされたので、いつもは芳香に甘い麗も賛成し、
芳香の外出禁止が満場一致で決定していた。
だが、やっとの思いで強敵を倒したのに、外出禁止を言い渡された芳香は、
家を抜け出してまた夜遊びをしていた。いつもの様にしていたら、時計は
午前零時を過ぎてしまっていた。さすがにこれはマズかった。
(みんな、怒ってるかな〜!お兄ちゃん、怒ってるだろうな〜。麗ちゃん、
怒ると怖いんだよな〜。)
暗い道を急いでいると、ふと、奇妙な人影が目に入った。シルエットはスタイルの良い
女性の様だが、腰には妙な形のスカート、頭にはベールを付けた様な姿をしていた。
なによりも、芳香は、その影にはハッキリと見覚えが有った。
「バ、バンキュリア?!どうして?私と翼ちゃんで、間違い無く倒したのに・・・・
暁の結晶で間違い無く・・・・」
「あの位で、このヴァンパイア・クイーンが死ぬとでも、思ってるの?本当にバカな娘ねぇ・・」
そう言うと、バンキュリアは、芳香の方へ歩き始めた。
「オマエには、大きな借りが有るからねェ。まずはオマエからお祝いをして貰おうか。その身体でね!!」
「くっ!!そうは行かないわ!マージ・マジ・マジーロ!桃色の魔法使い!マジピンク!」
芳香は変身するとバンキュリアに向い、身構えた。前回は油断から吸血鬼にされたが、今回は
リベンジを果たすつもりだった。
「今度は油断しない!私自身のためにも、絶対に倒す!ジー・ジー・ジジル!ハアッッ!」
マジピンクはマジパンチを両手に装着すると、バンキュリアに向って駆け出した。マジパンチに
魔法の力が込められて行く。
「ふぅ。やっぱり、バカねぇ・・・・喰らえ!破滅の爆裂大回転砲!」
マジピンクはバンキュリアの持つガトリング砲の直撃を頭部に受けてしまった。爆発を起こして
マスクは砕け、芳香は気を失っていた。
「さあ、パーティにご招待するわ。歓迎するわよ、桃色の魔法使いちゃん。」
                       
     
「ギャァァァァァ!イギィィィィ!やめてェェェ!ウギァァァァ!!」
屋敷中に獣の様なマジピンクの悲鳴が響き渡った。
「あらあら。この位で、音を上げちゃダメじゃない。まだまだ、パーティは始まったばかりよ?
アナタには、もっと歌ってもらわないと・・・・」
バンキュリアは笑いながら、マジピンクを見た。マスクを失い、両手は魔道具のロープで縛られ、
ブーツはス−ツごと剥ぎ取られていた。
しかし、その左足の指は、根元から無くなっていた。万力の様なモノで一本づつ潰され、
もぎ取られていったのだった。その度に芳香は、凄まじい痛みを味わっていった。
指を潰される度に失神しそうになるが、指の千切られる痛みで正気に引き戻される。
それをすでに五回も味わっていた。
「申し訳ありませんでした、バンキュリア様。私はバカなペットでした。お許し下さい。
っていえば、楽に死なせてやってもイイんだよ。」
「イヤァ・・・絶対に・・言うもんかぁ・・・ギャアァァァァ!ゆ、指がァ、
ちぎれぇるぅぅぅぅ!ヒギャァァァ!」
右の親指をもぎ取られ、絶叫を上げながらもインフェルシアに屈する事を、
(桃色の魔法使い)マジピンクは拒んでいた。両足の指を全てもがれ、涙と涎で
グチャグチャに変わり果てた、蒼白に顔を上げながらマジピンクの眼はまだ闘志を秘めていた。
「私は・・絶対に負けない・・・翼ちゃんと・・・約束・・したんだ・・・絶対・・負けないって・・・・・」
「あっ、そう。じゃあ、苦しんで死になさい。もう、楽には死ねないわよ。ふふふっ。さあ、ショータイム!!」
バンキュリアが指を鳴らすと、両腕を縛っていたロープが片腕ずつ左右に物凄い力で引っ張り始めた。
メキメキと関節の外れる音が響いた。
「うぎゃぁぁぁぁぁ!腕がぁ!腕がちぎれるぅぅぅぅ!やめてぇぇぇぇ!うぎゃぁぁぁ!
もげる、もげちゃうぅぅぅ!ぐぎゃぁ!!」
バキッ、という音と共にマジピンクの腕が肩から、引き千切られた。芳香は口から泡を噴き、
白目を剥いて気を失っていた。腕から解けたロープはマジピンクの血を吸い、力強くなって
今度は両脚に巻き付いていった。
「バイバイ。バカな魔法使いちゃん。後で兄弟にも会わせてあげる。」
「会わせてあげる。魔法使いちゃん。キャハハハ!さあ、スタート!」
バンキュリアはナイとメアに分かれ、マジピンクの両側に立ち、取り出したピストルを上に向けて撃った。
ロープは片脚ずつをまた左右に開き始めた。ゴキゴキと不気味な音が聞こえ始め、マジピンクが目を覚ました。
「・・・うっ!い、いや!何!・・・いやぁぁぁぁぁ!た、助けてぇぇ!お母さぁぁぁん!!
ギャアァァァァァァ・・・・・・グギァャア!」
両足は引き千切られ、モデルをしていた抜群のプロポーションもただのパーツになっていた。
「さて、パーティのメインイベントをしなきゃね!忙しい、忙しい!」
「忙しい、忙しい!キャハハハ!」
ナイとメアは、マジピンクを眺めながら笑って言った。
                             ・
麗の水晶玉に出たポイントに向ったマジレンジャーがそこで見たモノは、バラバラにされ、
火焙りにされているマジピンクの無惨な姿だった・・・・
 
(文章提供:ミョーコス様)


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