開戦前夜(2) 地上界でマジピンクの頭部を捜していたバンキュリアが殺害された。高い魔法力で精製された 「暁の結晶」で再生不能な状態まで浄化されてしまったのだ。インフェルシアではスフィンクスを 除き、ほとんどの者がマジレンジャーを疑っていた。魔法力が無ければ「暁の結晶」は創れないからだ。 一方、マジレンジャー達は麗の占いで、芳香が冥獣に惨殺された事を知り、インフェルシアを疑っていた。 この事について両親とヒカルは状況の説明にマジトピアへ、そして、スフィンクスを信じる麗以外の マジレンジャーはスフィンクスを問い質しにインフェルシアへと旅立った。 独り残った麗は、解決の糸口を見つける為に精神を集中させ、水晶玉にむきあっていた。すると、 うっすらではあったが、見覚えのある洞窟が浮び上がってきた。以前メーミィとヒカルが封印されていた、 あの洞窟だった。麗はマジブルーになり、急いでスカイホーキーで洞窟へ向った。 ・ マジブルーは辺りを窺いながら、奥へ奥へと進んで行った。かなり奥まで行くと、かつてメーミィの ミイラのあった場所に何かが置かれている事に気付いた。 「ほ、芳香ちゃん!・・何て事を!・・・・酷過ぎる・・・・・」 そこには、マスクを半分砕かれて無惨な姿を晒したマジピンクの頭部が置かれていた。 「クククッ。姉妹の感動的な再会だな。待っていたよ、”青色の魔法使い”様。」 マジブルーが近づこうとした瞬間、洞窟の中に不気味な声が鳴り響いた。 「だ、誰!姿を見せなさい!よくも芳香ちゃんをこんな目に・・絶対に許さない!!」 しかし、霧の様なモヤの他は、なにも見えなかった。 「許さない、か。結構、結構。その位イキが良くなければな。おっと、失礼。我が名はファントム。以後、 御見知り置きを。さあ、お前もマジピンクの様に我々を愉しませてくれ。」 「愉しませる!?・・・そんな事の為に芳香ちゃんを・・・キャアァァァァァ!」 呆然とするマジブルーに無数の触手が襲いかかり、その身体を宙吊りにしてしまった。必死に振り解こうと するが凄まじい力で巻きついていて、逆らう事は出来なかった。 「我々の狙いは、天空聖者サンジェルの妻。そう、オマエだよ、マジブルー。マジピンクとバンキュリアを殺し、 双方に再び戦争を起こす。しかし、それだけでは今度はマジトピアが邪魔になる。そこでオマエの出番だ。 ボロボロのオマエを見れば、ヤツも争いを起こすだろう。そして3つの世界が共倒れになれば、後は、 すべて我々悪魔族の物だ。」 ファントムの言葉で謎が解けた。マジピンクを惨殺してマジレンジャーの怒りを煽り、バンキュリアを殺害して、 インフェルシアの怒りを煽る。しかし、どうやって(暁の結晶)を?ファントムには魔法力は無い様だが・・・ 「あの(暁の結晶)をどうやってつくったの?あれは魔法力が無ければ創れないハズなのに・・・」 マジブルーの問いにファントムは、笑いながら答えた。 「簡単な事だ。マジピンクの魔法力を吸い尽してして創ったのさ!”風のエレメント”がバラバラになるまでな! 魂もボロボロになって散ってしまったよ。ハハハッ!」 そういうと触手がマジブルーの身体からパワーを吸い取り始めた。身体中が痺れ、チカラが無くなって行く。 「オマエのレジェンドパワーは貰って行くよ。コイツのエサに丁度いいからね。さあ、(超冥獣クラーケン)! レジェンドパワーを喰い尽くせ!!」 「うあぁぁぁぁぁ!そ、そんな・・・うぐぅぅぅぅ・・・レジェンド・・パワーが・・・吸い取られるぅぅぅ・・・ やめてぇぇぇ・・・」 クラーケンはその触手から体内のレジェンドパワーをすべて吸い尽した。強引にパワーを吸い取られ、マスクは 砂の様に崩れ落ちてしまった。 以前(絶対神 ン・マ)にパワーを奪われた時の様な姿になってしまい、魔法力も殆ど残っていなかった。 「さあ、ここからが本番だ。オマエにはコレをくれてやろう。さあ受け取れ、マジブルー!」 クラーケンと融合したファントムは、パイプ状の触手を思いきり股間に突き刺した。 「ギャアァァァァァ!ヤメテェェェェ!ヒイィィィィ!・・・・・ううっ!ぐ、ぐえぇぇぇぇぇぇ・・・・」 突き刺された触手からは何かが次々と胎内に注入され、マジブルーの腹部は妊婦の様にみるみると大きくなっていった。 首を左右に振り、涙を流しながら麗は悶え苦しんでいた。結婚はしたが、経験はほとんど無いに等しかった。 「ぐえぇぇぇぇぇ・・・・・ぐ、ぐぶぅぅぅぅ!げぇぇぇぇぇぇ!ぐげぇぇぇぇぇ・・・」 突然、麗は口や目から水を噴き出し始めた。それもパワーが暴走した時の様な澄んだ水ではなく、濃い灰色の 汚水が噴き出していた。全身をケイレンさせ、身体中の穴から灰色の汚水を垂れ流し、股間からは、何かを大量に 注入され続けていた。 「クククッ。ここまで”水のエレメント”が汚れれば、良いだろう。これでオマエはもう体内で(浄化)を する事は出来なくなった。どんなモノもそのまま受け入れるしかないのだ!さあ、始めるぞ!ハハハッ!」 ファントムが言うと、クラーケンはマジブルーの股間の触手を引き抜いた。しばらくすると、全身から 噴き出していた汚水は止まり、麗はうなだれて気を失った。スーツの輝きは無くなり、薄汚れたボロ布同然だった。 「・・・・う、うっ・・・・ううっ・・!ヒッ!うあっ!うあっ!・・うぐっ!アヒィィィィィ!ヒィィィィィィィ!」 奇声を上げ、マジブルーは意識を取り戻し、股間から何かを産み始めた。 「ヒイッ!ヒイッ!ヒイッ!な、何?!何が・・んあぁぁぁぁぁぁぁ!いやぁぁぁぁ!うくあぁぁぁぁぁ・・・・」 宙吊りにされたマジブルーは何かを出産していた。幾つかは、下腹部の裂け目からスーツの中に入り込み蠢いていた。 「何が産まれてくるのか、見たいか?クククッ。見せてやろう!お前の子だ!さあ、よく見ろ!ハハハッ!」 クラーケンがマジブルーの股間に触手を突き刺し、産まれたモノを引き擦りだして眼の前に突きつけた。 一瞬で麗は凍り付いた。 「こ、これは・・・・まさか・・・か、カエル?!・・冥府・・ガエル!!・・・い、いやぁぁぁぁぁ! やめてぇぇぇぇぇ!助けてぇぇぇぇぇ!!」 (伝説の青色の魔法使い)マジブルーは半狂乱になり、悲鳴を上げ続けた。触れるだけでも恐怖を感じるカエルが、 自分の胎内に大量に詰まっていて、しかも、それを自分が今、出産している。愛する夫の子供すら出産していないのに、 おぞましい冥府ガエルを出産し続けている・・・ 「イヤァァァァァァ!止めてぇぇぇぇ!カエルなんて、産みたくないよぉぉぉぉ!お願い、助けてぇぇぇぇ・・・ ヒカルぅぅぅ・・助けてぇぇ・・・」 「もうオマエは、人間の子も、天空聖者の子も産めん。一生、冥府ガエルしか産めない。ハハハッ!おめでとう、 マジブルー。ハハハッ!」 ファントムの死刑宣告にも等しい言葉を聞いた(マジブルー=小津 麗)のココロはコナゴナに砕け散った。 愛するヒカルの子を産む事もできず、冥府ガエルしか出産出来ない。麗の心には絶望しかなかった。 「・・・・・ふふふっ・・・あははははっ・・・・・ヒヒヒヒヒ・・・・ハハハハハハハハ・・・・」 ・ とてつもない不安を感じ、先にマジトピアから戻ったヒカルは、麗の水晶玉を見て急いで(あの洞窟)へ向った。 美しく、強いココロを持った聡明な妻・麗はもう死んでいた。そこに居たのは、ケタケタ笑いながら、冥府ガエルを 出産し続ける、以前からは想像も出来ない、壊れてしまった(マジブルー)だけだった・・・・ ・ その日から数日後、マジトピアの先頭に立ってインフェルシアに侵攻するマジシャインの姿があった・・・ |