心の強さ ボウケンピンクは追い詰められていた。なんとかプレシャスは確保したのだが、 ゴードムの戦闘員・カース達の追撃を振りきれず迷路の様な洞窟を移動し続けている。 これでは捕まるのも、時間の問題だった。チーフ達がカース達の相手をしている内に、 地上まで運びだす作戦だったが、敵の数が想定以上に多かったのだ。こちらの計画は 既に狂い始めていた。 しかし、プレシャスを奪われる訳にはいかない。これが大神官ガジャの手に渡れば、 おそらく新たなゴーレムを起動させるだろう。 ボウケンピンクは洞窟の穴の中にプレシャスを隠し、サバイバスターで穴ごと崩して 逃走した。これなら、万が一捕まっても、敵の手に渡る事は無い。後は通信のできる所まで 行き、チーフ達に報せれば良いのだ。自分が倒されても、プレシャスは味方が回収できる。 そうすれば、自分達の勝ちだ。（西堀 さくら）はそう考えた。 案の定、5分もせずにボウケンピンクは広場に追い詰められた。後は闘って勝ち残るだけだ。 手許にはサバイバスターしかなかった。 カース達に照準を合わせ、トリガーを引く瞬間、マスクの中のアラームが鳴り響いた。 ディスプレイを見たさくらは、愕然とした。 （洞窟内に引火性ガスが充満！火器の使用禁止！爆発の危険性、大！） この警告が出たと言う事は、爆発の衝撃にスーツが耐えられない事を意味していた。 ガンモードは使えない。ブレードモードでも火花が散れば同じ事だ。大爆発を起こし最悪の場合、 洞窟がすべて崩れてチーム全滅となってしまう。それはあまりにもリスクが高すぎる。 ボウケンピンクは格闘術のみでカース達と闘うしか無かった。渾身の力を込めたパンチを一体の カースに向って放った。 やはり、効果は無かった。以前闘った時もボウケンブルーのパンチが全く効かなかった。二発、 三発と放つがまるで効いていない。バキッ、という音が鳴り響き、ボウケンピンクの腹部に カースの拳がめり込んでいた。重い一撃だった。 「グフッ！・・・・ああっ・・・・うううううっ・・・グブッ！・・・う、う、う・・・ グゲエッェェェェェェ！」 倒れる事は出来なかった。二発目が鳩尾に喰い込みさくらはマスクの下で嘔吐した。自分の胃の 内容物で窒息しそうになった。やがて周囲からカース達の拳が嵐の様にボウケンピンクを襲い、 意識までも吹き飛ばしていった。 ・ 気が付くと、ボウケンピンクはＸ字に磔にされていた。マスクは外されて汚れた素顔を晒していた。 「フフッ。気が付いたか、ボウケンジャー。お前には訊きたい事が有る。話してもらうぞ。」 白い法衣を着た男が声を発した。大神官・ガジャだった。奪ったマスクをポンポンと叩きながら ガジャはさくらに言った。 「・・・・貴方達に教える事は、何もありません。諦めて遺跡に戻りなさい。」 ピシャリとさくらは言い放った。言葉は丁寧だったが、意志は強かった。ガジャは一瞬、 顔色を変えたが平然としていた。 「そうか。では、これならお前も話す気になるだろう。」 ガジャの合図でカースが機械のレバーをゆっくりと降ろした。その瞬間、ボウケンピンクの身体は ビクンと跳ね上がった。 「うあっ！うぐぐぐうっ・・・・ヒグゥゥゥゥゥ・・・・・・・くうぅぅぅぅぅぅぅ・・・・・」 身体を震わせながら必死で何度も流される電撃にボウケンピンクは耐えていた。三回目ほどで 身体からうっすらと白煙が上がり始めたが、悲鳴一つ上げなかった。何度も何度も電撃が身体を貫いたが、 やはりボウケンピンクは耐え抜いていた。 この電撃は普通の人間が耐えられるハズが無い。女なら尚更だ。何度目かでガジャは電撃を止めさせると、 驚いた様に言った。 「何故だ？何故、あの電撃に耐えられる？人間が耐えられるハズが無い！」 「はあっ・・はあっ・・・私達は悪には負けません・・・プレシャスを悪用しようとする・・・ 貴方達には・・・絶対に！」 肩で息をしながらボウケンピンクは言った。それが（西堀 さくら）の決意であり、プライドだった。 「ほう、面白い。それがいつまで持つか、見せて貰おうか？ボウケンピンク。命乞いは早いほうが 良いぞ、クククッ。」 不気味な笑みを浮べガジャはカース達に機械を操作させた。何か磔台の中のメカが動いている様だった。 「何度でも、私は負けません！貴方達に命乞いなんて死んでもしません！」 ボウケンピンクが言い放つと、ガジャが待っていた様に言った。 「それは、楽しみだ。」 ・ 「ギャアァァァァァァァ！やめてぇぇぇぇぇ！お願いぃぃぃぃ！と、止めてぇぇぇぇ！ イヤァァァァァァァァ！」 部屋中にボウケンピンクの悲痛な叫びが響いていた。ガジャは満面の笑みを浮べその様子を眺めていた。 電撃はボウケンピンクの下腹部と両胸を焼いていた。今まで全身に流されていた電撃は全てソコ に集中していた。ボウケンピンクは股間と胸という、女性の大事な所だけを責められて、悲鳴を 上げてのたうちまわり苦しんでいた。 元々、（西堀 さくら）は、戦いのエリートとして厳しい訓練を積んできた。肉体・精神共に 最高レベルだと自他ともに認められる存在だった。 だが、こんな経験は全くなかった。女性の大事な所を責められるなど、考えた事もなかったのだ。 それを強烈な電撃で味わう。まさしく、生き地獄だった。胸はおかしな痙攣を続け、自分の意志と関係なく 母乳が噴きだしてスーツに滲んでいた。 「ハヒッ、ハヒッ、イヤァァ、た、助けてェェェェェ！ヒイィィィィィ！イヤッ、イヤッ、 アウッァァァァァァ！」 敵の眼の前でボウケンピンクは三度目の失禁をした。股の内側はスーツが変色し水滴が滴って、地面に 垂れ落ちて行った。先程までのプライド高く、自信に充ちた姿はどこにもなく、今は無様に敵に助けを請い、 醜態を晒していた。 「ヒィッ、ヒィッ、何でも、話しますからッ、と、止めてェェェ！こ、壊れる！私、うあっァァァァァァ！」 既に涙と涎でグチャグチャの顔でボウケンピンクはとうとう（命乞い）を始めていた。磔のまま、 尿まみれのスーツでのたうち回りながら。 「ぷ、プレシャスは、・・ヒイッ・・洞窟ぅのぉ・・・」 プレシャスの隠し場所を自白し始めたボウケンピンクにガジャは、驚くべき話をし始めた。 「そんな物、貴様らにくれてやるわ！あんな物はタダのエサだ！貴様らを誘き出すためのな！この略奪者ども！ 我々の秘宝を奪い去っておいて、正義が訊いて呆れるわ！我等の恨み、思い知れ！」 あのプレシャスはただのオトリだったのだ。それを必死に守っていたなんて・・・・今まで、 なんの為に耐えていたのか・・・・ 「クククッ。では、ボウケンピンク、貴様に聞こう！死と責め、どちらが良い？」 最大出力の電流に貫かれ、穴という穴から液体を吹きだしながら（西堀 さくら）は眼の前が白く 濁ってゆくのを感じていた。 ・ ・ ・ カース達を撃退したボウケンレッド達はボウケンピンクとプレシャスの捜索を始めた。やがて、 磔にされ、白目を剥いて、泡を噴きながら尿を洩らし、無惨な姿に変わり果てたボウケンピンクを発見した。 すでに、（西堀 さくら）は身も心もコナゴナに壊され、絶望の中で最期を迎えていた。 |