深淵の冒険者
       
 プレシャス(ハーメルンの笛)を確保したボウケンジャーに驚くべき情報が届けられた。
ダークシャドウが(ハーメルンの笛)を使って何十人もの子供達を操り、生贄にする為に
連れ去っていた。もう一つの(ハーメルンの笛)を確保し、子供達を救う為に
ボウケンジャー達はダークシャドウの後を追った。
 山里で風のシズカとカナデガミを発見するが、操られる可能性が有る以上、安易に
近付くのは非常に危険だ。だが、子供達を放って置けないボウケンイエロー、ブラック、
ブルーの3人が指示を聞かずに飛び出していった。
 「待って!危険です!!」
 マスクの音域レベルを調整しながら、ボウケンピンクも3人を追い掛けて走り出した。
予想が正しければ、あの3人も・・・
 「子供だけじゃ無いんだよ、操れるのは!!」
 3人は笛の音で操られ、2人に襲いかかって来た。ボウケンレッドはブラックとブルーを
相手に防戦するので精一杯だった。
 ボウケンピンクは暴れるイエローを取り押え、マスクの音響レベルを操作して何とか正気に 
戻そうとしていた。
 「しっかりして下さい!暴れないで・・ぐあっ!・・・ううううっ・・・・・」
 嗚咽を残して意識を失うボウケンピンクの鳩尾には、ボウケンイエローの拳が喰い込んで
いた・・・・
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 ボウケンレッドを倒し、4人を連れ去ったダークシャドウは子供達を水晶に変え、ブラックと
ブルーを操り儀式の準備をさせていた。ボウケンジャーのサブチーフ、ボウケンピンクは
別の部屋で手足を固定されX字型に磔にされていた。気を失ったフリをし、一瞬の隙をついて
ゴードムから来ていた戦闘員カースを倒して脱出しようとしたが、操られた3人に攻撃され
倒されてしまったのだ。武器は奪われ、マスクは破壊されて、ボロボロの素顔を晒し、スーツは
ズタズタにされて、内部の基盤が所々剥き出しになっていた。
 「ううっ・・・皆を・・解放しなさい・・・・」
 こんな状況でも、(西堀 さくら)の口からは懇願の言葉などはまったく出ては来なかった。
 「アナタ、自分の状況、理解してる?そんな事より、自分の心配した方が良いんじゃないの?」
 ダークシャドウの(風のシズカ)が磔台のボウケンピンクを眺めながら言った。
 「これから、貴方をある人物に引き渡しまぁす。そうすれば、私達ダークシャドウは一層の
支援を受けられるの。」
 「な、何を勝手な・・・・私は商品なんかじゃ有りません!人間を取引するなんて、
許される訳が・・・・・」
 ボウケンピンクの言葉を遮る様に低い声が響いてきた。聞き覚えの有る独特な声だった。
 「許されぬのは、貴様等も同じだ。我等の秘宝を奪い、我等の遺産をも破壊し、今また、我等を
抹殺しようとしている。この様な非道が許されるのか?!ボウケンジャーのサブリーダーよ!」
 ゴードム文明の神官、ガジャがカース達を引き連れて、やや興奮気味に姿を現した。
 「ボウケンピンク、貴様の身柄とカース達を50体、交換という条件でダークシャドウと
取引した。これで貴様は、我々の物だ。そして、ここに居るカース達は全て君等、ダークシャドーの
兵士だ。良いかな、シズカ殿?」
 ガジャが言うとシズカは頷いた。
 「良し。では、これよりボウケンピンクの処刑を執り行う!やれ!」
 ガジャの合図で一斉にカースが磔になったボウケンピンクの脚や腹部を斬り付け始めた。
斬られた所からは火花が散り、ダメージの酷さを物語っていた。
 「ぐっぅぅぅ!うあっ!くうっ!」
 しかし、ボウケンピンクは悲鳴一つ上げずに、数十分に及ぶ嵐のような斬撃に耐え続けていた。
スーツからは白煙が上がり、装着者の身体にも、かなりの負担がかかっていた。その痛みにも
さくらはひたすら耐えていた。
 「ねぇ、それじゃ、らちが明かないんじゃない?お手伝いしましょうか、神・官・様?」
 後ろで眺めていたシズカが青筋を立てているガジャに申し出た。見ているシズカの方が
イライラする程、悲鳴一つ出て来なかった。
 「フン!どうすると言うのかな?!やってみせて貰おうか!!」
 怒るガジャに微笑むと、シズカはカース達を下がらせた。ボウケンピンクに近づいて
にこやかに言った。
 「貴方、随分とガンバリ屋さんね。でも、これはどうかしら?フフッ。ガンバッて見せてね。」
 「私達は絶対に負けません。絶対にみんなを助け出します!貴方こそ諦めなさい!」
 呼吸を荒げてボウケンピンクは言った。それを無視してシズカは先程奪ったボウケンピンクの
放水銃、ハイドロシュターを取出した。
 「コレはキツそうね。どこまで頑張れるかしら?楽しみだわぁ。」
 そう言うと、シズカはハイドロシュターの銃口をボウケンピンクの股間に差し込んだ。
 「ひっ!な、何を・・・・まさか・・・やめて!そんな・・・・やめて、ヤメテェェェェ!」
 シズカのやろうとしている事に気付いたボウケンピンクは全身をよじり逃れようともがいたが、
逃れる事は出来なかった。
 「だめよ。この位で音を上げちゃ。まだ、なにもして無いじゃない。それじゃあ、
イ・ク・ワ・ヨ、フフフ!」
 顔面蒼白のボウケンピンクに言うと、シズカはゆっくりと引き金を引いた。凄まじい圧力の
水流が放たれ、胎内を駆け巡った。
 「ヒィィィ!・・ウガァァァァァ!おごぉぉぉぉぉ!グボグボグボグボグボボボボボボボ!」
 奇妙な叫び声を発し、咽の奥からの圧力で顔を上に跳ね上げたボウケンピンクは、その口から
間欠泉の様に水を噴き上げた。引き締まった腹部からは、圧力を掛けられた内臓が浮き上って見え、
まるで腹の中に何か居る様に蠢いていた。その胃や腸などの内臓を逆流して来た水は、内容物を
巻き混み汚水となって(西堀 さくら)の全身を貫いた。
 「ギャボボボボ!グババババババババ!ゲアアアアアアアアアアアアア・・・・」
 「どう?苦しい?フフッ、アハハハハハハッ!」
 手足をジタバタと痙攣させて、汚水を吐き続けるボウケンピンクを眺めながらシズカは笑っていた。
ガジャはその光景に一瞬ではあったが、怯んでしまった。人間同士が見せる余りに恐ろしい光景だった。
 「記録はどうかしら、神官様。イイ絵は撮れた?必要なんでしょ、それ。」
 「・・・あ、ああ。完璧だ。・・・・」
 遂に黒目が反転し、白目を剥いてボウケンピンクは果てた。水を流し込まれ、妊婦の様に腹部を
パンパンに張らしたボウケンピンクの周りに操られたイエロー達が集められた。無惨な姿に
成り果てたボウケンピンクの身体に(仲間達)の攻撃が加えられた。
 ブラックのラジアルハンマーが手足を叩き潰し、ブルーのブロウナッツクルがスーツごと身体を
切り刻み、イエローのバケットスクーパーが豊かな両胸をむしり取った。ボウケンジャーのサブチーフ、
(深き冒険者)の身体は、ボロボロの生きた屍骸へと作り変えられて行った。
「ぐぎゃあ・・・うあぁぁぁぁ・・・ぎひぃぃぃぃ・・・・助けてぇぇぇ・・・・殺さないでぇぇ
・・・・」
 命乞いをするボウケンピンクの張詰めた腹部に、ブラックのハンマーが振り下ろされ、
(西堀 さくら)は真赤の水を噴き出した。
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 イエロー達3人は、なぜか無傷で解放された。しかし、ボウケンピンク(西堀 さくら)だけは
解放されず、3人にも捕えられていた間の記憶が無かった。
 ボウケンピンクを捜索をするボウケンジャー達の許にディスクが送られてきた。そのディスクには、
磔にされて処刑され、仲間にトドメを刺されて息絶えるボウケンピンクの姿が映っていた。重い雰囲気に
包まれるボウケンジャー達に、埋立地のゴミの山に処刑台ごと棄てられたボウケンピンクの遺体が
発見されたという報告が入った。
 
 
 
 



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