轟轟戦隊ボウケンジャー戯笑劇場
       Task.XXX   「黄色い狂宴」
 
 
  南米のオルカン・セノーテ遺跡から約20キロ離れた地点では、ボウケンイエローが
ゴーゴービークル(ゴーゴードーザー)で、ようやく地下水脈へ進入を果たし、
遺跡の入口の有る地底湖を目指し上流に向っていた。
  ボウケンピンクは単独任務、プレシャス(運命の槍)回収の為に南米まで来ていたが、
数時間前から連絡が途絶えていた。緊急事態だったがゴーゴードーザー以外の
ゴーゴービークルは修理やメンテナンスの為に出動できず、ボウケンイエローだけが
先行し現地に向かう事になり、他のメンバーは可能になり次第、出動という事になった。
                                     ・
  オルカン・セノーテ遺跡は地上からの進入経路が存在せず、地下50mに在る地底湖から
しか内部に入る事ができなかった。しかも、この一帯は外部からの人間の進入を嫌う為に、
遺跡付近に大規模な救助チームを派遣する事が不可能だったのだ。
  ゴーゴービークルのみで地底湖から進入するしか、手段はなかった。
地底湖から浮上し、遺跡の入口に到着した。ボウケンピンクのビークル、(ゴーゴーマリン)が
何事も無かった様に浮んでいた。
 「さくらさん、じゃなかった、ピンク。待っててください。今すぐに行きますから!」
 何か不吉な予感を感じてボウケンイエローは遺跡内部に進入し、心臓部まで全速力で
一気に駈け抜けた。
 当然、何重にもワナが仕掛けられていた。ボウケンイエローは鋭いカンで紙一重で
避け続けたが、やはり全ては無理だった。
 「ぐっ!あっ、マスクが・・・!」
 頭部を狙ったハンマーの一撃を避けきれず、意識は何とか無事だったがマスクは
破壊されてしまった。かまわずに素顔のまま走り続けた。
 「うぐっ!うあぁぁぁぁ!」
 突然、右肩に痛みが走った。細い矢が深く何本も突き刺さっていた。そのまま一気に
掛け抜け、祭壇に転がりこんだ。
 息を切らし、祭壇から奥に視線を向けると目立たない所に奥に向って細い通路が伸びていた。
 「ハァ、ハァ、ハァ・・・・ぐうっ!!・・・こ、これって、もしかして隠し部屋?」
 ボウケンイエローは息を切らしながら、肩に刺さった矢を抜き取った。スーツから血が
滴り落ちたが、傷口を押さえて先を急いだ。
 ボウケンピンクの事が気になって仕方が無かったのだ。ボウケンイエローの嫌な予感は
強くなって行った。
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 「あっ、今度は黄色いのが掛ったみたいだ。また、愉しめるかなぁ。」
 プレシャス(運命の槍)をボウケンピンクの側頭部から引き抜くと(彼)は言った。
ボウケンピンクは床に脳漿と鮮血を撒き散らし、既に息絶えていた。
 (彼の手術)によって、身体中を幾つもの刃で貫かれて鮮血を噴きだした。首をロープで
締められて気道を塞がれ,窒息死寸前になった。
 手の平にナイフを突き刺され、骨と筋肉をズタズタにされた。いずれも、死の寸前まで
続けられた。それだけでは、死ぬ事はできなかった。
 「げぇぇぇ!うげげげげげげ・・・・・・・・・・・」
 頭部に(運命の槍)を突き刺され、奇声を上げてボウケンピンクは息絶えた。しばらく
全身を痙攣させていたが、やがてピクリとも動かなくなった。
 突き刺さった(運命の槍)は(西堀 さくら)の魂を吸い取ったかの様に怪しく
輝いて見えた。
 「さて、と。今度はどういった嗜好で行こうかな?・・・・身体も鈍ってしまうからなぁ。
スポーツ方向でいくかぁ。」
 (彼)こと、天才的医学者にして最高の暗殺者、(カール・クロエネン)は新しい獲物を
求めて歩き出した。
                                       ・
 ボウケンイエローは隠された祭壇でプレシャス(運命の槍)を発見した。念の為に
(アクセルラー)でハザードレベルを計測する。
 「えっ!!(ハザードレベル:183)!?そんな事って・・・たしか(レベル:83)って、 
さくらさん、言ってたと思ったんだけど・・・・」
 あまり自信なさげにボウケンイエローが言った。しかし、こんなに異常に高いレベルでは
無かったハズだ。
 「フフフッ。それはヒトの魂と交換に願いをかなえるモノだからね。」
 突然聞えてきた声にボウケンイエローは身構えた。気配など全く感じていなかったのだ。
5人の中でも(カン)と気配を感じる事に関しては、チームでは一番だった。嫌な予感の
元はこれだ、とボウケンイエローは思った。
 「あ、あなた、誰?何でココにいるの?」
 「ボクは墓守さ。さっきまではピンク色で遊んでいたんだけど、壊れちゃってさ。
キミを迎えに来た、ってワケさ。」
 身構えるボイケンイエローにクロエネンは軽く言った。明らかにボウケンピンクの事を
知っている口振りだ。
 「ピンク色って、さくらさんに何をしたの?!壊したってどういう事?!」
 言い終わらない内にボウケンイエローはクロエネンにキックを放った。ムチの様に
素早い蹴りだった。が、ボウケンイエローの脚はピタリと止まった。
 クロエネンはボウケンイエローの足首を片手で掴み、キックを(受け止めた)のだ。
 「そんな!は、放してぇ!ううっ・・・うあぁぁぁぁぁぁ・・・・ギャアァァァァ!!」
 掴んだ足首を右手で捻り上げ、左手の手刀で叩き折った。関節を一撃で砕かれた
ボウケンイエローは凄まじい悲鳴を上げた。
 「ボクもまだまだだなぁ。一発で斬り落せないなんてさ。」
 手袋の脇から飛び出た刃を眺めながらクロエネンは言った。ブーツの強度で刃はボロボロに
なっており、まさに腕力だけで(叩き折った)のだ。
 苦しむボウケンイエローの左腕を関節と逆に曲げ始めた。ミシミシミシ、とヒジが
悲鳴を上げた。
 「ウガァァァァァ!やめてぇぇぇぇぇ!痛いぃぃぃぃ、痛いよぉ!折れちゃうぅぅぅぅ
・・・・・・ギャアァァァァ!!」
 メキッ、と言う音と共に、ボウケンイエローのヒジは有り得ない方向に曲がった。汗と涙で
グチャグチャの顔を仰け反らせ(強き冒険者)は、激痛の為に無様に地面をのた打ち回っていた。
「この位でイイかな。じゃあ、一緒に来て貰うよ、黄色ちゃん。フンッ!!」
クロエネンは腹部を思い切り踏み付けた。ぐえっ、と言う声を発し、白目を剥いて
ボウケンイエローは意識を失った。
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 「・・・・ううっ・・・ここは・・・・」
意識を取り戻すとボウケンイエローは、(儀式の間)に連行されていた。不気味な空気が
充満していた。
 「おや、お目覚めかな。」
 クロエネンが床に倒れているボウケンイエローを見下ろして言った。
 「・・・私を・・・・どうする気・・・・・・・・・」
 菜月は僅かに震える声でクロエネンに聞いた。戦闘のプロでは無かったが、ジャリュウ一族や
ダークシャドウと互角以上に戦って来た。
 それが、否定された。敵に遊び感覚で倒された。殺される。そう、思った。誰でも良いから
助けて欲しかった。初めて(恐怖)と(絶望)を味わっていた。
 「君の会いたがっていたピンクと会わせてあげようと思ってね。フフフッ。」
 クロエネンの言葉に菜月はすぐに反応した。(仲間に会える。)そう思うと、(恐怖)が
薄れていった。
 「さくらさんに会えるの?本当に会わせてくれるの?!」
 「ああ。さあ、彼女はあそこだよ。」
 クロエネンが指す方を見ると、確かにそこには(ボウケンピンク=西堀 さくら)がいた。
 「ああっ・・・・酷い・・・・こんな事って・・・」
 十字架に両手を打ち付けられ磔にされた無惨なボウケンピンクの姿を眼にした菜月は
痛む身体で思わず駆け寄った。
 近づくと白目を剥いたさくらの側頭部から脳漿が垂れているのが見えた。身体中の力が抜け、
菜月はその場にペタンと座り込んでしまった。
 床一面に飛び散ったさくらの脳を見て、菜月は嘔吐した。
 「ううっ、さくらさん・・・・うっ!ゲエェェェェェ!」
 「まだまだ、これからだよ、フフフッ。それっ!」
 クロエネンが指を鳴らすと、ドスッ、という音と共に磔にされていたボウケンピンクの身体が
下に落された。すると、僅かに身体がピクピクと動き始めた。
 遂には立ち上がり、驚く菜月の方へ振りかえった。
 「さ、さくらさん?無事なんですね!よかった!私、さくらさんが死んじゃたと思って・・・」
 泣きながら、菜月はボウケンピンクに駆け寄り、抱きついた。
 「・・・・・・アアァァァァ・・・・ウウゥゥゥゥゥ・・・・・」
 奇妙な声を上げて、ボウケンピンクはボウケンイエローの肩の傷口を見ていた。
 「ああっ、コレ。さっき、トラップに掛っちゃって。ホント、ドジですよね。ワタシ。
ふふふっ。・・・えっ?・・・・ギャアァァァァァ!!」
 突然、ボウケンピンクはボウケンイエローの傷口に喰らい付き、肉を食い千切った。突然の
激痛にボウケンピンクを突き飛ばしたが、しっかり掴まれ離れなかった。再び、
ボウケンピンクがボウケンイエローの肉を喰いはじめた。ケモノの様な絶叫を上げ、
ボウケンイエロ−はボウケンピンクに喰われ続けた。
 「ギャアァァァァァ!サクラサン!!ドウシテェェェェ!オネガイィィィィ!
タベナイデェェェェェェ!!ウギャァァァァァァ!」
 ボリボリボリ、と音を立てて(仲間)に喰われるボウケンイエローにクロエネンが言った。
 「彼女は(運命の槍)に魂を奪われて、(グール)、君たちの言うゾンビみたいなモノに
なったんだよ。魂も無く、知性も理性も存在しない、タダの肉食鬼。
 (君達)の魂で(運命の槍)はドンドン強力になる。(ハザードレベル:138)など、まだまだ
成長途中でしかない。もっと魂を与えないと・・・」
 ボウケンピンクに喰い尽され、ボウケンイエローは既に虫の息だった。足は千切られ、内臓が
引き摺りだされて、生きた死体だった
 「・・・・・ううっ・・・・助けて・・・・・・死にたくない・・・・・・チーフ・・・・・
みんな・・・・・助けてぇぇぇぇ・・・・・・」
 クロエネンがボウケンイエローの足を放り投げるとボウケンピンクがそれを掴みムシャムシャと
食べ始めた。
 「さあ、もうフィナーレだよ。AUF WIEDERSEHEN.」
 (運命の槍)を菜月の額に当て、クロエネンが言った。菜月の首が左右に動いた。
 「・・・いやぁ・・・・・やめてぇ・・・・・・・・助けて・・・・・ゲエッ!!」
 動かなくなったボウケンイエローから視線を外したクロエネンは、モニターに映った蒼い
コスチュ−ムの女性を見ていた。
 「さあ、最後のお客様だ。十分に愉しませて貰うとしよう。」
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 ボウケンレッド達はゴーゴービークルのメンテナンスがようやく終了し、急いで現地に向った。
ボウケンピンクの救助に向かったボウケンイエローも、連絡が取れなくなって数時間が経過していた。
 遺跡の内部に侵入し、二人の捜索を開始して数時間後、石の扉で閉ざされた(儀式の間)が発見された。
 何とか(儀式の間)に入った3人は、恐ろしい光景を目の当りにした。
 頭部を貫かれ、脳漿と鮮血を撒き散らし、十字架に掛けられ無惨に息絶えた(風のシズカ)と
その死肉を貪り食う(ボウケンピンク)と(ボウケンイエロー)の変わり果てた姿だった
 
 
                    END
 

 タロウ註:これはl氏のボウケンピンク漫画の続編です。



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