【Stage12】決意のしるし AnotherStory 芳香無惨 第一章 バンキュリアを打ち抜こうと、暁の結晶をセットしたボーガンを構えるマジイエロー。 だが、その前にバンキュリアに操られたマジピンクが立ちはだかる。 「私に矢を打ち込みたければ、この女を倒せばいい」 しかし、マジイエローは迷うことなく引き金に指をかけた! 「行くぞ!芳姉!!」 裂帛の気合いと共に放たれる黄金の矢尻! 翼は芳香が一瞬ならバンキュリアの支配から逃れて、自分の意志で体を動かせることに賭けたのだ。 それに呼応して、矢が命中する寸前に身を翻してかわすマジピンク。 暁の結晶はそのままバンキュリアの胸に突き刺さる! 「な、なにっ!あああああああ!!」 「・・・・・・なんてね」 だがそこの立っていたのは、無傷で嘲笑うクイーン・バンパイアだった・・・ 「馬鹿なっ!?」 「そんな!どうして!?」 マジイエローとマジピンクが思わず落胆の声を上げる。 「ふふん。馬鹿正直に正面から打ってくることが分かってたら、幾らでも防ぐ方法はあるんだよ。 やっぱ、駄目なヤツは駄目ねぇ!」 バンキュリアは胸の前に構えた盾に突き刺さった暁の結晶を抜き取ると、片手で粉々に 握りつぶしてしまった。 「ああ。そんな・・・」 絶望に崩れ落ちるマジピンク。 「しつけの出来てないペットはお仕置きしないとね」 バンキュリアが指を鳴らすと、紫色の稲妻がマジピンクを襲う。 バリバリバリバリッ! 「ああ!!きゃああ!!!」 マジピンクの魔法変身が解除され、ピンクのジャケットにシルバーのスカートといういつもの姿の 芳香がそこにはあった。 「さて。インフェルシアに戻ってから、たっぷりお仕置きしてあげるわよ」 バンキュリアは芳香の顎を優しく撫でると、冥界に戻る魔導陣を足元に描いた。 「み、みんなぁ!翼ちゃん!!助けてっーーーー!!!」 「芳香!」「芳香ちゃん!!」「芳姉っー!!!」 必死で追う4人の目の前で助けを求める声だけを残して、芳香は消えていった・・・ 第二章 「う…。ここは…」 芳香が冷たい岩の感触に目を覚ましたのは、薄暗い洞窟のようなところだった。 「ようこそ、地底冥府インフェルシアへ。こんな大きな荷物を持ってくるのは苦労したわよ」 「苦労したわよぉ」 頭上からの声に振り返ると、バンキュリアから分離したナイとメアが芳香を見下ろしていた。 「くっ、私をどうするつもり!?」 「ふふん。ペットに自分の立場を教えるには、二度とご主人様に刃向かわないようにカラダに 叩き込むしかないわよね」 「カラダに叩き込むしかないわよねぇ」 一瞬怯えた表情を見せた芳香だったが、すぐに立ち上がってナイとメアを睨み返す。 「煮るなり焼くなり好きにするがいいわ。どうせ、私の意識はお前の思うままなんでしょ?」 覚悟を決めた芳香は、毅然と叫んだ。 「うふふ。よく分かってるじゃない」 「分かってるじゃない。でも、それだけじゃお仕置きにならないでしょ?」 「お仕置きにならないでしょ。大サービスよ。吸血鬼としてのコントロールからは解放してあげる。」 「解放して、あ・げ・る。抵抗したかったらしてもいいわよ」 芳香はナイとメアの考えが分からずに不審がりながらも、確かに自分の体を思い通りに 動かせることを確認した。 「なんのつもりか知らないけど、その思い上がりを後悔させてあげるんだから!」 マージフォンを取り出し、天に突き上げて叫ぶ! 「魔法変身!!マージ・マジ・マジーロ!!!」 天空聖者から授かった魔法で、マジピンクに変身する芳香。 上半身の鮮やかなピンクのスーツがモデル経験もある芳香のボディラインと豊かなバストを 強調し、光沢あるホワイトシルバーのインナーが見事な脚線美を包み込む。 「桃色の魔法使い、マジピンク!」 ピンク色に輝くマントをはためかせながら決めポーズを取ると、ナイとメアに向かって叫んだ。 「お前を倒して、地上に戻ってみせるわ!」 しかし、ナイとメアは合体してバンキュリアにもならずに余裕の様子で言い放った。 「ふふ。威勢がいいこと。でも、あんたの相手は私じゃないの」 「おいで。グール!」 巨大な拳を持った2mを越える冥獣が、暗闇の奥から現れた。 「牢獄・蠱毒房で生き残った最強の三冥獣の一匹、巨腕のグールよ。」 「ま、一人じゃなんにもできない弱虫のピンクちゃんの相手にはもったいない相手だけどね」 「だけどね。うふふふふ・・・」 最強の冥獣とクイーン・バンパイア。5人で戦っても勝てるかどうか分からない強敵相手に、 兄弟から離れて孤立無援なマジピンク。圧倒的に不利な状況にも芳香はひるまなかった。 「芳香ちゃん、バージョンアップ!やるときはやるのよ!!」 右手でマスクの前の横Vサインを出すと、マジスティックを構えてグールと対峙する。 「グール、お前の拳でドカンとやっちゃいな」 「やっちまいな!」 そして、地獄のゴングが鳴り響いた。 第三章 相手の冥獣はあの巨体と巨大な拳から判断して、おそらくパワー重視の戦闘スタイル。 ならばスピードで攪乱し、懐に飛び込んで一気にカタを付ける! バンキュリアとの戦闘も考えれば、必要以上に体力を消耗することはできない。 間合いを計りながらも、芳香は冷静に計算していた。 (今だ!) 横にフェイントを入れるとマジスティックを上段に振りかぶり、瞬間の最大スピードでグールの 懐に飛び込むマジピンク! グールの頭上でマジスティックをまさに振り下ろそうとした瞬間、無表情な冥獣がニヤリと 笑ったように見えた。 「!!」 ゴフッ!! その瞬間、時速200kmを越えるグールのパンチがカウンターでマジピンクの脇腹を捕らえた! 自分の頭ほどもあるグールの拳が、輝くピンクのスーツに守られた腹部に突き刺さる! 「がっ、ぐはっ!」 スーツに火花を散らし、吹っ飛ぶマジピンク。 蛇のように伸びたグールの左右ストレートの連打が、さらにそれを追い打って襲いかかる! バキッ!ゴフッ!バシュウ!! 受け身も取れない体制で、僅か1秒足らずの間に顔面・胸・そしてもう一発腹にグールの超高速の パンチが叩き込まれた。 軽く10mは吹っ飛ばされて岩の壁に激突し、そのまま地面に倒れ込むマジピンク。 ドガッ!!・・・ドサッ 「ぐ、はぁ、はぁ・・・つ、強い・・・・」 マスクのバイザーにはヒビが入り、うっすら汗を浮かべた芳香の素顔がそこから覗いている。 「あーら、ピンクちゃん。早くも一回目のダウン?」 「うふ。だから言ったでしょ。最強の冥獣だって」 「ワン!ツー!スリー!・・・」 ナイとメアがダウンのカウントを開始する。 両手をついて立ち上がろうとするマジピンクだが、全身が砕かれたような激痛に力が入らない。 一瞬のうちに大ダメージを受けてしまった。 「・・・セブン!エイト!ナイン!」 (く、悔しいよ・・・こんなとこで負けちゃうの?) しかしその瞬間、マジピンクは左右から両腕を掴んだナイとメアに無理矢理立ち上がらされる。 「え!?」 戸惑うマジピンク。 「うふふ。残念ながら10カウント負けなんてのは、このゲームのルールにはないの」 「試合再開よ。弱虫のピンクちゃん」 ナイとメアが手を離して倒れてしまうよりも早く、目の前に迫ったグールの剛拳が咆哮とともに 再びマジピンクの上半身に叩き込まれる!! ゴフッ!ドゴッ!メキッ!ドカッ!バキッ!ドゴッ!!・・・・ 「あああ!!ぐはっ!あうっ!ぐっ!!・・・ごふっ!・・・ぐはあぁ・・・・」 岩の壁を背にして倒れることも逃れることもできないマジピンクが、サンドバッグのように 滅多打ちにされる。マジピンクの華奢な体の豊かなバストやしなやかな腹筋を破壊して、 グールの残酷な鉄の拳がめり込む。 そのたびにピンクのスーツは爆発を起こし、耐え難い苦痛と共にスーツの輝きと防御力が 失われてゆく・・・ 20発近い連打の嵐が止んだとき、マジピンクは上半身のいたるところが黒く焼け焦げて、 スーツの破れ目からは下半身と同色なホワイトのインナーが覗いていた。 「うああぁぁぁ・・・が、がはっ・・・・・・」 そのまま煙と火花を上げながら、崩れ落ちるマジピンク。 うつ伏せに倒れた姿勢から再び立ち上がろうとするものの、腕一本動かすこともできない。 ナイとメアが倒れたまま動けないマジピンクの尻を、ピンクの光沢を残しているスカートの上から 踏みつける。スカートに刻まれる皺と柔らかなその感触を楽しむかのように踏みにじると、 さらにスカートを無造作に足でめくり上げた。ホワイトシルバーに輝くインナーに包まれた、 美しいヒップラインが無惨に露出される。 その無防備なヒップを、さらにグリグリと無茶苦茶に踏みにじる! 汚れのない白いスーツに、黒い靴後が惨めに刻まれてゆく・・・ 「やっ、やめて!・・・もう・・・もぅ、やめてよぅ・・・・」 なんの抵抗もできない芳香は、あまりの屈辱にマスクの中で涙を流した。 「なーんだ。もうおしまい?」 「やっぱ、駄目なヤツ!」 「でもまだまだ。お仕置きはこんなもんじゃ終わらないわよ」 「終わらないわよ」 ナイとメアは左右からマジピンクの両腕を掴むと、軋む体を無理矢理立ち上がらせる。 両膝を地面に着いたままの姿勢で、強引に引き起こされるマジピンク。 「あううっ・・・・・い、痛っ・・・・・・・・」 肋骨何本かにヒビが入ったのだろう。 ボロボロのスーツに包まれた胸が、呼吸で微かに上下するたびに激痛が走る。 ひび割れたバイザーからは、素顔に一筋の涙が見えた。 (うう・・・あんなパンチを受け続けたら、死んじゃうよ・・・・) しかし、ナイとメアの残酷な考えはその想像をも超えていた。 ナイはマジピンクの背中からスーツと同じピンク色に輝くマントを捲り上げると、マスクを すっぽりマントで包み込んだのだ。 メアが首元でマントを軽く結んで仕上げる。 「え?・・・な、なにをするつもりなのっ!?」 完全に視界を奪われた恐怖が芳香を襲う。 頭部をマントの裏地であるホワイトシルバーですっぽりと覆われて、十字架にでも 架けられるように両手を広げて壁面に固定されたマジピンク。 「あははは。無様ね。かっこ悪い!」 「ホントに無様ね。泣き虫で弱虫のピンクちゃん」 「グール!やっちまいな!」 「マジピンク、袋だたきのはじまり〜」 (そ、そんな!!!) 最強の冥獣が雄叫びと共に、圧倒的な破壊力を持つそのストレートを放つ! バッキッィィィーーー! 「がッ、がはッぁぁぁぁぁ!!」 マントに包まれたマジピンクの顔面に叩き込まれたそれは、マントの中のバイザーを一撃で粉々に 破壊した!! マスクとバイザーの砕ける音に混じって、マント越しのこもった声で芳香の絶叫が響きわたる! さらにストレートに加えて、左右からのフックや顎を砕くアッパーカット・・・ ときおりボディへのブローも織り交ぜながら、身動きのとれないマジピンクに容赦のない殴打の嵐が 襲う!なにも見えない暗闇の中での攻めは、恐怖によりその苦痛を倍加させた。 ドガッ!バキッ!ゴフッ!ドゴッ!・・・ 「ぐはッ!!・・ごほっ!・・・がっ!・・・うああっ・・・・・ぐああぁぁぁ・・・・・・・・」 声にならない芳香の悲鳴も、次第に小さく弱々しくなってゆく・・・ すでにマスクを包むマントは、ボロボロになってあちこちが破れている。 パンチが叩き込まれるたびに飛び散る血飛沫が、グールの拳をどす黒く染めた。 そしてグールはとどめの一撃、メガトンパンチを放つ! 芳香の肩幅を超えるほどに巨大化した拳が、壁面に惨めに固定されたマジピンクの上半身全体を 捕らえる! グアッシャッーーーーー!!バキバキバキッ!!! 冥獣最大の剛拳は、すでに防御力のなくなったピンクのスーツの上から磔られてなお存在感を示す 芳香の胸を押しつぶし、岩の壁にマジピンクの体をめり込ませてようやく止まった・・・ 終章 「さて、ご開帳〜」 ナイがマスクを包むマントを解くと、そこには無惨に変わり果てたマジピンクの姿があった。 バイザーは完全に破壊され、ピンクのマスクもいたるところがひび割れ陥没し原型をとどめていない。 ナイとメアがマスクの残骸を取り去ると、顔中汗と涙でびしょ濡れの芳香の素顔が晒し出された。 壮絶な殴打で顔中アザだらけになり、頬や額はバイザーやマスクの破片による無数の擦り傷・ 切り傷が血を流している。 そしてその肉感的で魅力溢れる唇から流れる鮮血は、マジピンクのスーツを赤く汚し、足元に 血だまりを作っていた。 そこには、もはや兄弟一の美貌を誇った芳香の面影はなかった。 焼け焦げたスーツから白いインナーがのぞく胸元が、呼吸により僅かに上下する。 ただそのことだけがマジピンク、いやマジスーツに包まれた芳香の生存を示していた・・・ 「ふふふ。今回はこれぐらいで勘弁してあげる」 「勘弁して、あ・げ・る」 二の腕を壁面に固定されたてぐったりとうなだれピクリとも動かない芳香の顎に指をかけて、 顔を覗き込むナイとメア。 「じゃあ、そろそろ私の忠実な下部に戻ってもらうわ」 ナイとメアは芳香の顔を持ち上げ、二人で左右からインナースーツに守られたその首筋に噛み付いた。 白く輝くインナーを易々と突き破り、素肌に牙が突き刺さる! 「クイーン・バンパイアに二度も血を吸われるなんて、とても光栄なことよ」 「・・・い、いやぁ・・・あああぁぁ・・・・イヤアァァァ!!!」 芳香の瞳からは大粒の涙が流れ、ココロの光が消えてゆく・・・ 意識の残る芳香が最後に見た光景。 それは、残る4人を倒すために出撃していた冥獣オーガが、スーツをボロボロにされ気を失った 青の魔法使いを手みやげに帰還したところだった・・・ 完 |