「第46話 ラゴーンの逆襲 はるな無惨」

T.前編

ラゴーンの罠にかかり、パワーを失い変身することができなくなった力たちター
ボレンジャー。
責任を感じていたはるなは他の4人からパワーを分けてもらい、たった一人ピン
クターボに変身して暴魔に立ち向かう!

「えいっ!たあっ――!!」
群がるウーラー兵たちをターボレーザー剣でなぎ倒して、ヒトツメボーマに迫る
ピンクターボ!
ガキッ!!ヒトツメボーマの一撃をWステッキで受け止める。
しかしその瞬間、青く光ったヒトツメボーマの目からレーザー光線が放たれた!
バシュッ!!
「きゃあああっ!!」

ドゴオォッ!
レーザーの直撃を受けてひるんだピンクターボを、ヒトツメボーマの豪腕が殴り
つけた!
マスクの横っ面をまともに殴りつけられたピンクターボが軽く吹っ飛ばされる。
立ち上がろうとしたところを、さらに二度・三度とレーザーが襲う!
バシュッ!バシュッ!ババババシュゥッ!!
「あうっ!きゃああっ!うああああッ――!!」
狙いすましたレーザーは、次々とピンクターボの胸に命中し火花を上げた。

「くっ・・・、ステッキブーメラン!」
ガシッ!渾身の力を込めた反撃のステッキブーメランは、ヒトツメボーマに片手
で叩き落とされしまう。
「そんなっ!」
「ふんっ、ピンクターボごときがたった一人でなにができるというのだ?」
逆に、その胸に連続でレーザーの直撃を受けてしまうピンクターボ!
バシュ!バシュウウウッ!!!
「うあああああアァッ―――!!!」
鮮やかなピンクと白に彩られたターボスーツは黒く焼け焦げ、白煙を上げていた。

「はあ、はあ、はあ・・・うぐっ!」
しかし、はるなは決してあきらめてはいなかった。力たちの言葉に勇気をもらい、
再び立ち上がる。
Wステッキを拾うとその身軽さでヒトツメボーマに一撃離脱の攻撃を加え、
とどめのターボレーザーを構えた。
「ターボレーザー!・・・えっ、なに!?うあああっ!!」
まさにターボレーザーを放とうとしたピンクターボを、見えない力が締めつけ
持ち上げる!
「相手は一人じゃないのよ!」
それは姫暴魔ジャーミンの光の鞭だった。
さらにジャーミンの口から放たれたエネルギー弾が、ピンクターボの体の前後から
襲いかかり大爆発を起こす!
バシュッ!!バシュウッ――!!!
「きゃああああああアアアァッ――――!!!」
ジャーミンは絶叫するピンクターボを放り投げて、大地に叩きつけた!

ドサッ!
激しく地面に叩きつけられ、バウンドして転がるピンクターボ。
「がはっ!・・・うううぅ・・・・・」
「ふふふ、せっかく変身したのだ。そのスーツごと再起不能にしてやる。やれ!
ヒトツメボーマ!」
うつ伏せに横たわるピンクターボの背中を、ヒトツメボーマの足が踏み付ける。
大地に押し付けられた胸のふくらみが踏み潰され、華奢な背中を守る輝くピンクの
スーツに深いシワが刻まれていく。
そして、その背中にも容赦ないレーザーの連続攻撃が!
ババババッ!バシュ!バシュッ!バシュッ!
「きゃああああっ!!うわあああああッ――――!!!」
胸と同じように黒く焼け焦げ、白煙を上げるターボスーツ。
強靱な耐久力を持つスーツも至近距離からの集中攻撃により激しく焼かれ、黒こげに
なった部分からは無惨に内部回路が露出していた。
さらにその傷付いた背中をストンピングで繰り返し踏み付け、剥き出しになった
内部回路が火花を散らして破壊されてゆく。
「はああああアァッ――!!うわあああああアアアァッ―――!!!」

「はあ、はあ、はあ、はあ・・・・・」
足をどけたヒトツメボーマは、両手をついて起きあがろうとするピンクターボの
無防備な腹を力任せに蹴り上げる!
ドゴオォッッ!!
「げふッ!がはあああぁっ――!!」
体をコの字に曲げて腹を押さえ、悶絶するピンクターボを再びヒトツメボーマの
足が踏みにじる。
側頭部を踏み付けられ、マスクがメキメキ音を立てて踏み潰されていく。
メリメリッ!ミシミシミシ・・・
「うああああっ――――!!」
ピンクターボはヒトツメボーマの足にしがみついて必死で逃れようとするが、
ヒトツメボーマは踏み付ける足にさらに力を込めた!
・・・メキメキメキ・・・・バキバキバキッ!!
「ああああアアアァァッ――――!!頭が!頭が割れちゃうっ―――!」
マスクの中からはるなの絶叫が響きわたり、亀裂がマスク全体に広がっていく。

はるなが気を失う直前で足をどけたヒトツメボーマは、ピンクターボの背中に
馬乗りになった。
そしてマスクをうしろから両手で掴むと、その顔面を繰り返し地面に叩きつける!
ドカッ!ドガッ!バキッ!ドゴッ!メキメキ・・・
「なっ!がはっ!・・あぐうっ!・・ぐはああっ!!・・・うああああアアッ!
!!・・・・」
何度もバットで顔を殴りつけられるような痛みに、失いかけていたはるなの意識が
引き戻される。
叩きつけられるたびにマスクは鈍い音を立てて石ころだらけの固い大地にめり込み、
ピンクとシルバーの欠片を飛散させてゆく。
傷だらけになった顔面の中で、黒いバイザーが粉々に砕け散っていった。

ぐったりしたピンクターボの上半身を起こしたヒトツメボーマは、首に腕をまわして
がっちり固定した。
踏み潰されて陥没したマスク側頭部のひび割れに指を突っ込み、力任せに破壊していく!
ガシッ!メキメキッ!バキバキバキ・・・
「そんなっ!マスクがっ――!」
タイヤホイールをイメージしてデザインされた、黒とシルバーの丸い聴力増幅回路を
掴んで、マスクから無理矢理引き剥がす!
ベキベキッバリバリッ――!グシャアアアァッ!!
だらりと繋がったままの配線を引き千切って回路を握りつぶすと、直接聴覚に信号を
送られているはるなにも激痛が襲った。
「うあああアアアァァッ――!み、耳があああああっ――!!」

マスクから露出する耳を押さえ、悶絶するはるなの素顔が砕けたバイザーから覗く。
ヒトツメボーマはバイザーがあった空間に手をかけると、半壊したマスクをさらに
真っ二つに引き裂いていく!
バキバキッ・・・ベキベキベキ・・・・・バリバリバリッ!
「い、いやアッ!やめてえっ―――!!」
ピンクターボの力の象徴であるマスクが、力ずくで上部から後頭部にかけて無惨に
引き裂かれていく!
マウスガードや片側の側頭部だけを残して破壊されたマスクからは、長い髪を
振り乱した傷だらけのはるなの素顔が露わになった。
「ああぁ・・そ、そんな・・ターボスーツのマスクが・・・・」
ターボスーツの中でも最も防御力の高い部分であるはずのマスクを奪われて、
呆然とするピンクターボ。
マスクを失ったスーツからは、パワーやスピードの強化能力・ダメージ吸収能力
などすべての機能が失われていた。
すでにピンクターボは、単なる強化繊維のスーツを着た女子高生森川はるなと
なってしまっていたのだ。

しかし、ピンクターボにとって本当の地獄はまだまだこれからだった・・・


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