【Stage43】茨の園 AnotherStory マジブルー蛙地獄

第1章

  トードのマルデヨーナ世界の中でニセマジレンジャーと戦うマジレンジャー。
マジレッド、グリーン、ピンクは魔法で人形にされてしまい、5人を相手に苦戦する
マジブルーとマジイエロー。ニセピンクの変身した巨大ガエルの舌がマジブルーを絡め取り、
引き寄せる。
 「カ、カエル!うう、いやあ・・・」
:
 (ユウキ、デロ、デロ・・・ユウキ、デロ、デロ・・・)
 しかし、麗は母からの勇気のおまじないを思い出す。
 「マージ・マジ・マジ・マジーロ!」
 勇気のパワーで巻き付いていた舌を引き千切って、レジェンドモードに変身したマジブルー!
 「マジ・マジ・ゴジ…」
 新魔法を放とうとしたその瞬間・・・

 ビチャッ!
 軽い衝撃とともにマジブルーの視界が遮られる。
 「え!?こ、これはまさか・・・」

 おそるおそるマスクに伸ばした手の先には、ぶよぶよした柔らかい感触が。
 「ひっ!い、いやあああああぁぁぁっ――――!!」
 マジブルーの顔面には大きなカエルがピッタリと張り付いていたのだ。
カエルの恐怖を克服したかに思えた麗だったが、皮膚と同じ感覚を持つマスクを通して伝わる
冷たく柔らかい感触は、とても耐えられるものではなかった。

 一瞬、麗の悲鳴に注意がそれたマジイエロー!
 「うら姉ぇ!・・・はっ、うわあッ――!!」
 ニセマジレンジャーたちはその隙を逃さず、マジイエローも3人と同様に人形にされてしまう。

 悲鳴を上げながら顔面のカエルを引き剥がして放り投げるマジブルーの足を巨大ガエルの舌が
再び絡め取り、そのまま逆さまに吊し上げる!ダイヤルロッドもニセマジピンクに奪い取られ、
投げ捨てられてしまう。いつも助けてくれる兄弟は全員人形にされてしまい、孤立無援で
捕らわれたマジブルー。絶体絶命のピンチに追いつめられてしまった。

第2章

 足を締め上げる舌を振りほどこうともがくマジブルー。
 しかし舌は二重三重に巻き付き、逆さ吊りの体勢では、レジェンドパワーをもってしても
脱出することができない。

 そして巨大ガエルはおもむろにその舌を振り上げると、足を絡めとったままマジブルーを
上空に放り投げた!
 「きゃああああああッッ――!」
 舌の長さ一杯まで空高く投げ飛ばされたマジブルーが、まるでヨーヨーのように加速をつけて
地面に叩きつけられる!
 ドゴオオォッッ!!
 「うわあああぁッ―――!!」
 コンクリートが砕けるほどの勢いで、背中から叩きつけられたマジブルーが悲鳴を上げる!
ぐったりしたマジブルーを再び持ち上げると、今度は胸から叩きつけた!
 ドガアアアアァァッ!!
 「…あうううッッ!!」
 ドゴォッ!!バキャッ!!ドガアァッ!!!・・・
 「あぐうっ!!ぐはああぁッ――!!・・・はあああアアアアッ―――・・・」
 二度、三度と繰り返し、放り投げられては大地に叩きつけられるマジブルー。
そのたびに、爆発音とマジブルーの絶叫が響きわたった。

 「はあ、はあ、はあ・・・」
 失神寸前まで叩きつけられて、両足に巻き付いた舌で再び逆さ吊りにされたマジブルー。
 その両腕はだらりと伸びて地面に着き、何度も叩きつけられたレジェンドモードの胸部プロテクターは
大きなダメージを受け白煙を上げていた。
 さらに巨大ガエルは、ぐったりしたマジブルーを舌でぶんぶん振り回しはじめる。
 「なっ・・・・!」
 そしてそのまま、掴んだ足を放すと正面の建物の壁めがけて投げつけた! ハンマー投げの
ハンマーのように、最大限に加速されたマジブルーが壁に叩きつけられる!!
 ドッガガガアアアアァァッッ―――!!!
 「がッはああああァァッ―――!!!」
 受け身もとれずに頭から壁に突き刺さったマジブルー!
 分厚いコンクリートの壁は粉々に崩れ落ち、仰向けに横たわるマジブルーがその瓦礫の中に埋もれていた。
 腰より上の上半身全体を瓦礫の山が覆い尽くし、頭も半分以上を瓦礫に沈めながら傷だらけの
青いマスクの顔面を晒している。
 完全に意識を失っているのか、青く輝くスカートからのびるホワイトシルバーのスーツに包まれた足も
力なくのびきっていた。ぐったりと大きく股を開いた下半身が、その姿をより一層惨めなものにしていた・・・

 ドガアアァッ!!グシャアアアアァァッッ―――!!
 全体重をかけた巨大ガエルが、マジブルーの上半身を覆う瓦礫の山を踏み付ける!
 「・・・!うあああァッ!!がはあアアアアァッ――――!!」
 踏み潰される痛みにより、失っていた意識を引き戻されるマジブルー。瓦礫の欠片ひとつひとつが
凶器となって、腹や腕の剥き出しのスーツにめり込み、傷付いた胸のプロテクターをさらに痛めつける!
 「ひいッ――!!!ひぎゃああああああァァッッ―――!!!!」
 瓦礫の山から生えた手首のようにのぞく白いグローブが、空しく激しく宙をかきむしる!
 グシャアアアァッッ!!ミシミシッ!!メキメキメキ―――!!
 「があああぁッッ―――!!ひぎいいイイイィッ―――!!いやあああアアアァァッッ!!」
 力を込めて踏み付けられるたびに瓦礫の山は崩れ、欠片はスーツの上から麗の体に深く沈み込んでいく。
マスクの中で涙を流して絶叫するマジブルーを巨大ガエルは瓦礫ごと掴みあげると、無造作に大地に叩きつけた!
 ドゴオオオオッッ!!!

第3章

 「・・・あぐ・・・あううぅ・・・・・」
 まるで子供がカエルを殺すように、ベチャリ!と地面に叩きつけられたマジブルー。
うつ伏せに這いつくばった惨めな格好のまま、気が遠くなってゆく・・・
:
 (麗、麗・・・諦めちゃいけないわ。みんな、麗の力を信じてるから)
 「お、お母さん・・・!?」
 (・・・麗ッ!!・・ねえちゃん!!・・・うらネェ!!・・・麗ちゃん!!!)
 「お兄ちゃん・・・魁、翼ちゃん、芳香ちゃんも・・・・」
 もうろうとする意識の中に現れた母の深雪と兄弟たちが、あきらめてしまいかけていた麗を励ます。
 「私、・・・がんばる!みんなを助けて、・・・お母さんを取り返すんだからッ―――!!」
 勇気を取り戻したマジブルー、ボロボロになりながらも気力で立ち上がった。

 巨大ガエルの変身を解除したニセマジピンクを含む5人のニセマジレンジャーが、マジブルーに襲いかかる!
 レジェンドモードのパワーと気力で互角以上の戦いを繰り広げるマジブルーだったが、さすがに1対5の
多勢に無勢である。これまでのダメージも大きく残るマジブルーが、次第に追いつめられてゆく・・・
ニセブルーとニセピンクの攻撃をかわすマジブルーを、マジスティックボーガンを構えたニセイエローが狙い撃つ!
 ドシュッ!ドシュッ!バシュッッ!!
 「うわあああっ――――!あ、足がッ!!」
 右足を打ち抜かれたマジブルーがバランスを崩したところを、うしろからニセレッドがマジスティックソードで
斬りつける!
 バシュッ!!バシュウウウゥッッ――!!
 「あううッ!きゃああアアアアァァァッッ――――――!!」
 スーツを切り裂かれた左腕をおさえる左手を白いグローブを、赤い鮮血が流れ落ちてゆく。

 がっくりと片膝ついたマジブルー。
 両脇からニセブルーとニセピンクが腕をつかんで無理矢理立ちあがらせる。そしてニセグリーンが、
マジスティックアックスを正面からその胸めがけて振り下ろした!
 ドゴオオオオォッッ!!!
 「きゃあああああああッッ!!」
 強烈な斧の一撃が傷だらけの胸部プロテクターに叩き込まれ、刃先がゴールドに輝く装甲に食い込む!
斧で大木を切り倒すように、マジブルーの肩や胸元に何度も何度も繰り返しアックスを振り下ろすニセグリーン!
そのたびにプロテクターは火花を上げ、破片をまき散らしながら砕かれてゆく。
 ドガァッ!ドゴォッ!!ドゴォッ!!ドガアァッ!!ドゴオォッ!!・・・・
 「うあっ!!!ごふっ!!や、やめ・・・ぐはあッ!!」
 激しく振り下ろされたアックスが、ついにプロテクターを貫通してマジブルーの肩に深々と食い込んだ!
 ドゴオオッッ!!バキャアアアァァッ――――!!
 「うあああアアアアアアァァァッッ――!!!」
 すでに限界を越えるダメージを受けていたプロテクターが、砕かれバラバラになって落下していく。
一瞬光に包まれたあとに残ったのは、傷だらけのスーツに身を包み、レジェンドモードを解除されたマジブルーだった・・・

第4章

 (こ、殺されてしまう・・・)
 レジェンドパワーを失ったマジブルーは、かつてないほど死の恐怖を感じていた。
 瓦礫の中で踏みにじられたときも、アックスの攻撃を受けたときも、レジェンドモードだったからこそ
耐えられることができたのだ。プロテクターを破壊された今、あんな攻撃を受ければマジブルーは間違いなく
バラバラにされてしまうだろう。

 「まーじ・まじーロ!」
 ニセピンクが変身の呪文を唱える。
 そして変身したその姿は、かつてマジブルーが苦戦した相手である冥獣人ハーピーのピーウィー!
ピーウィーはマジブルーのマスクを両手でつかんで、頭を振りかぶるとその顔面に鋭いクチバシを振り下ろした!
 ドガッ!!ドガアァァッ!!バキャアアアァァッ――!!
 「うわああッッ!!」
 頑丈なマスクやバイザーを貫いて、繰り返し突き刺さるクチバシが次々と穴を穿ってゆく!
必死に抵抗するマジブルーの顔を引き寄せて、何度もクチバシを振り下ろすその様子は、力ずくで唇を
奪っているようにも見えた。
 「ひいイイイィィッ――!いやあアアアァァッッ!!」
 穴だらけになって、バイザーも砕け散ったマスクをピーウィーが引き裂く!半壊したマスクからは、汗と涙で
ぐちゃぐちゃになった麗の顔がのぞいていた…

 「ああぁ・・・そ、そんな・・・・」
 レジェンドパワーに続いてマスクも失ったマジブルーを、そのまま押し倒すピーウィー。
マジブルーに覆い被さってその両肩をつかむと、プロテクターの無くなった上半身に容赦なくクチバシを振り下ろす!
 ザクッ!ザクッ!グサッ!グサッ!・・・
 「ひぎゃあああアアアアアアァァッッ―――!!ああアアアァァッッ―――!!」
 鋭いクチバシが青い光沢を放つスーツや同色の襟飾りを貫いて、マジブルーの肉をえぐる!たちまち穴だらけに
されてゆくスーツからは、白いインナーや生身の傷口がのぞく。

 さらに青く輝くスーツに守られたその両胸を、おもむろに鷲掴みにするピーウィー!
鋭利な爪は艶めかしく光るスーツをしわくちゃにしながら胸のふくらみに食い込んで、若い果実を握りつぶしてゆく。
 「ひいぃッッ!い、いやあアアアアァッ――――!!やめてぇェェッ!!」
 素顔を晒した麗が、頭を振り回し涙を流しながら絶叫する!
ふくらみに爪を立てて揉みしだく両手をつかんで、必死に逃れようとするマジブルー。
だがそんな抵抗をものともせず、ピーウィーはマジブルーの胸に顔を埋めるようにクチバシを沈めて、その谷間を
深々と刺し貫いた!
 「ひぎいいいイィッ・・・・え?・・・ご、ごふっ・・・・」

第5章

 青いスーツはいたるところが傷付き破れて、傷口や白いインナーがのぞく上半身。
胸の谷間も大きくえぐり取られ、流れ出る鮮血がベルトのバックルからスカートまでを汚している。
 それでもマジブルーは立ち上がった。
 「・・た、助けなきゃ・・・お兄ちゃん、お母さん・・・わ、私が・・・・・」
 どんなにスーツや体を砕かれようとも、気持ちだけは決して負けない。
気力だけで立ち向かうマジブルーだったが、現実は残酷だった。
 「チョウマホウヘンシン!・・まーじ・まじ・まじ・まじーロ!」
 5人のニセマジレンジャーは、マジブルーの目の前でレジェンドモードに変身したのだ…

 パワーアップしたニセレンジャーが、立っているだけでやっとのマジブルーに襲いかかる!
 「・・・ジ、ジルマ・ジー・マジ・・きゃああアァァッッ!!」
 傷付いた体で最後の力を振り絞って呪文を唱えようとするマジブルーを、5人がダイアルロッドで叩きのめす!
肩、胸、腹そして背中に、5本のダイアルロッドが同時に叩き込まれる!
 ドドドッ!!ドガッッ!!ドゴオオォッ!!
 「がッ!!あぐっ!!ひぎッ・・・!ごふっ・・ぐはアアアァッ!!」
 スーツを通してでも女性らしい柔らかさを感じさせる腹や胸に、ロッドの先端が深くめり込む!
胸・腹・背中・腰・尻・腕・足・・・
 ところ構わず打ち込まれるロッドがマジブルーの肉を潰し、骨を砕いてゆく!
 「・・・げふッ!!・・・ぐはああぁ!・・・ひぎゃアアアァッ――・・・」
 たまらずうつ伏せに崩れ落ちるマジブルーが、さらにマントの上から滅多打ちにされる!
ドガッ!バキッ!バキッ!ドガッ!ドゴッ!!・・・・

 (・・みんな・・お母さん・・・ヒカル先生・・・。お、おねがい・・・た・・助けて・・・)
 最後まで決して希望を捨てず、弱音を口にしなかった麗。
まさに消えてしまおうとしている命の灯は、救いを求め天に向かって右手をのばす・・・
だが、青いグローブに包まれたその手がなにかをつかむことは永遠になかった・・・

完



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