「抹殺!アバレイエロー」 (第4話「完成!アバレ秘密基地」より) T・作戦 ダイノアースからの侵略者、エヴォリアンは優秀だった。 その指揮官は、彼らの前に立ちふさがったアバレンジャーをアナザーアース侵攻への 最大の障壁と正しく判断していた。 戦力の整わない早期にアバレンジャーを分断し、その一人を確実に抹殺すること。 その作戦のため、通信妨害能力を持つトリノイド第5号ハッカラスナイパーが作られた。 そしてターゲットに選ばれたのは、最も戦闘能力の劣るアバレイエローだった・・・ U・遮断 「はあ、はあ、はあ、はあ・・・」 街外れの廃墟の中を逃げる傷付いたアバレイエロー=樹らんる。 「みんな早く、早く来て・・・」 アバレイエローと同じく飛行能力を持ち、パワーでも圧倒するハッカラスナイパーは 天敵ともいえるトリノイドだった。しかもその特殊ライフルは、強靱なダイノファイバーで できたアバレスーツすら傷つける威力を持っている。 ライフルによる狙撃を避けて接近戦に持ち込もうとするものの、体格とパワーの差は明らかだった。 ガシッ!ドガッ!!ドゴッ!!・・・グワッシャ――――!! 「うぐっ・・・あうッ!きゃあああアアアアアアァァッ―――!!」 殴り飛ばされ、組み合って押し倒され、放り投げられて瓦礫の中に崩れ落ちるアバレイエロー。 ドシュッ!!ドシュッ!!バシュウッ!!! 「うあああっ――――!!!」 瓦礫の中から立ち上がったアバレイエローの背中をライフルの弾丸が襲い、輝くスーツが火花を上げた! 「くっ、あぐううぅ・・・・・」 悶絶するアバレイエローを踏み付け、そのマスクにライフルを突き付けるハッカラスナイパー。 「終わりだな。アバレイエロー・・・死ね!」 アバレイエローの目の前で火を噴くライフル! 至近距離で発射された弾丸の威力に、マスクのバイザーが粉々に砕け散っていく! バシュウ!…グワッシャッ―――ン!!バリバリッ!! 「きゃああああアアアアアアァァッッ――――――!!」 「ううう・・・」 バイザーを中心に半壊したマスクからその素顔を晒して、小さく呻くらんる。 (ダメだわ・・・・・私一人じゃ勝てない・・・) 残った力を振り絞って、アバレイエローは廃墟となった建物の中に逃げ込んでいく。 「みんな、早く来て!」 だが、らんるが仲間へのメッセージを託した少年はバーミア兵に捕らえられ、エヴォリアンの手に 落ちていた・・・ V.包囲 「はあ、はあ、はあ、はあ・・・・」 背後から迫るハッカラスナイパーを気にしながら、建物の中を走るアバレイエロー。 突然、その正面の壁が大音響と共に崩れおち人影が現れる。 (よかった。みんな、来てくれたのね・・・) しかし砂塵の中から現れ、アバレイエローの前に立ちふさがったのは、別のトリノイドだった! 「オレはトリノイド第2号ヒルリンドウ!逃がさんぞ!」 「そんな!・・・・・くッ!プテラダガー!」 武器を手にして応戦するアバレイエローだったが・・・ 格闘家タイプをベースにしたヒルリンドウは強かった。 アバレイエローが振り下ろすプテラダガーをあっさりつかみ取り、その手首をひねり上げる! 「あうっ!!」 そのまま手首をへし折られてしまうのではという激痛に、思わずプテラダガーを手放してしまう! バキイイイィィッ―――!!・・・・ドゴオォッッ!!! 「ぐはああアアアアアアアァァッッ――!!」 武器を奪われた上に、強烈な蹴りで吹っ飛ばされて壁に叩き付けられてしまったアバレイエロー。 痛む脇腹をおさえて立ち上がるアバレイエローのマスクをがっしり掴んで、その背中を壁に押し当てる! ミシミシミシミシッ・・・・ 砕けたバイザーから苦痛に歪む素顔を晒すマスクが、音を立てて握りつぶされていく・・・ 「あううッ・・・は、放せっ!」 マスクの顔面を鷲掴みにする腕に両手でしがみついて、必死で抵抗するアバレイエロー。 だが、そのがら空きとなったボディにヒルリンドウは凄まじいスピードでパンチの連打を叩き込む! ドゴッ!ドガッ!バキッ!ベキッ!ボゴオォォッ―――!!! 「がッ!ぐああっ!!や、やめ・・・げふっ!!がはあアアアァァッ!!!」 生きた黄色いサンドバックのように、アバレイエローがめった打ちにされる! 一撃一撃が黄色く輝くアバレスーツに深くめり込み、らんるの胸を押し潰し腹筋を打ち破っていく! 仕上げとばかりにヒルリンドウはマスクを壁に叩き付けると、そのまま壁を破壊しながら地面まで 引きずり下ろした! バキバキバキッ!!グワッシャアアアァ―――ン!!! 「うあああアアアアアァァッッ―――!!」 マスクは完全にバラバラになり、傷付いた素顔を露わにされたらんるが瓦礫の中で呻いていた・・・ W.破壊 バキッ!ベキッ!ドガッ!!・・・ ボゴッ!ドゴッ!!ドゴオオォッ!!・・・ 「あううっ!!・・・がはッ!・・・げふっ!!ぐはあああアアアァァッ―――・・・」 薄暗い廃墟の中に叩き付ける破壊音と、らんるの悲鳴が延々と響きわたる・・・ すでに戦う力を失っていたアバレイエローは、2体の屈強なトリノイドに好き放題にいたぶられていた。 エンブレムがゴールドに輝く胸元を鷲掴みにするトリノイド。 「・・くッ、苦しいっ・・・息が・・・」 持ち上げられて宙吊りになったアバレイエローの足先が、空しく宙を踏み付ける。 そのまま壁に叩き付けられた上に、痛めつけられた胸や腹に容赦ない剛拳が叩き込まれる! ドガッ!!バキッ!!ベキッ!!ドゴッ!!・・・ 「・・・ごふっ!あううっ!!・・・うぐッ!!・・・がはあああッ・・・」 逃げることも許されず、倒れても無理矢理立ち上がらされて叩きのめされるアバレイエロー。 腕を持ち上げられ、がら空きにされた脇腹には強烈な蹴りが叩き込まれる! 電柱のような足が、スーツに深いシワを刻みながらその柔らかそうな脇腹にめり込む! 「がはあああアアアアアァァァァッッ――――!!」 血混じりの胃液を噴き出すらんるの頬を、一筋の涙を流れ落ちてゆく。 その可愛らしい顔も容赦なく殴打され、殴り飛ばされた先でもう一体が待ち受ける・・・ 2体の間を往復させられながら、アバレイエローの華奢な体が徹底的に叩き潰されていく。 「はあ、はあ、はあ・・・ううう・・げほっ!・・・・がはッ!!うわああアアァッ―――!!」 思う存分に殴られ、蹴られ、倒れても踏み付けられてスーツが火花を散らし、白煙を上げてゆく。 さらにトリノイドの手には、奪われたプテラダガーが! ズシャアアアアアァァァァッッ!!!ビリビリビリイイィッ――――!! 傷付き汚れてもなお鮮やかな光沢を放っていたスーツが、胸から脇腹にかけて切り裂かれてゆく! 「そ、そんなあっ!アバレスーツが!!」 切り口からはみ出す内部回路を押し止めるように、スーツの裂け目を押さえて動揺するらんる。 どんな攻撃にも決して破られることなく、らんるの体を守ってくれてきた強靱なアバレスーツ。 それが今、自らの武器で無惨に切り裂かれ、切り口からは白いインナースーツが生々しく露出していた。 一本ずつプテラダガーを手にした2体のトリノイドに、黄色いスーツが次々と切り刻まれてゆく! 胸・太腿・腰・腕・背中・・・・ 切り裂かれた全身から火花を散らしながら、スローモーションのように崩れ落ちていくアバレイエロー。 しかし、らんるの瞳はまだ死んではいなかった。 「はあ、はあ、はあ・・・・ダイノガッツがある限り・・・・ぜ、絶対に・・負けないんだから!」 X.抹殺 「そうか。ならば、そのダイノガッツを食い尽くしてくれるわ!」 相手の能力を吸収できるヒルリンドウは、同様にあらゆるエネルギーを吸収する能力を持っていた。 傷だらけで地面に這いつくばるアバレイエローを抱え起こし、うしろから羽交い締めにするヒルリンドウ。 アバレイエローに満ちているダイノガッツを全身から吸収していく! 「・・・・うわああああァァッッ!!ひぎいいいイイイイイィィッ―――!!!」 体から魂を引きずり出されるような経験したことのない激痛に、弓のように体を反らして絶叫するらんる! 吸収されるダイノガッツが黄色い光となってアバレイエローを包み込み、徐々に弱々しくなっていく。 そしてその光が消えたとき、アバレイエローの体からは全てのダイノガッツを失われていた・・・ 「はあ、はあ、はあ、はあ・・・・そんな・・・ダ、ダイノガッツが・・・」 マスクを破壊され、スーツを切り裂かれ、ダイノガッツまでも失い、絶望してうなだれるらんる。 もはやアバレイエローは、ダイノファイバー製の薄汚れた黄色いスーツを身にまとっただけのか弱い女性に すぎなかった。しかも、ダイノファイバーの強度は装着者のダイノガッツに比例する。 「もう、こんなものは不要だな・・・」 プテラダガーを投げ捨て、踏み潰すハッカラスナイパー。 羽交い締めにされたアバレイエローの胸のスーツを、その素手の爪で横一文字に引き裂いていく! ダイノガッツの防御フィールドを失ったアバレスーツはインナーごと簡単に引き裂かれ、らんるの豊かな バストが無惨に晒される!さらに、そのスカートもただの布きれのようにいとも簡単に引き千切られていく! ビリビリビリビリイイィッ!!! 「い、いやあああアアアアアァァァッッ――!!」 羽交い締めから解放されたものの、もはやアバレイエローに立ち上がる力はなかった。 露出したバストを隠しながら後ずさって逃げようとするその怯えきった素顔には、すでに戦士の面影は 残っていない。壁際に追いつめられ、ブーツを掴まれたらんるの表情が恐怖にひきつる。 「や、やめて・・・・・こないで!!!」 押し倒されて、胸を隠す腕を力ずくで横に広げられ、大の字に固定されるアバレイエロー! ビリビリビリビリビリイイイイィィッ―――――!!! 「イヤアアアァァッッ!!やめてええエエエエェェッ!!いやああああアアアアアアアァァァッッ ――――!!!」 強度を失ったアバレスーツは爪を立てられてはたちまち破られ、次々と引き剥がされていく! 胸、腹、さらに腰から下半身にかけてまでも・・・ 「ひいいイイイイイィィッ!!いやあッ!!それだけは・・・や、やめてえエエエェッ!!!・・・・・」 スーツの破られる音とらんるの涙声の絶叫、そしてトリノイドの高笑いが廃墟の中にいつまでも 響いていった・・・ Y.敗北 らんるが消息を絶ってから24時間が経っていた。 「なにかあったに違いありません。手分けして捜しましょう!」 「捜すったって、手がかりもないのにいったいどこを・・・」 「恐竜や」内の秘密基地でらんるの身を案じる凌駕たち。 ガラガラガラッ!! 「らんるさんが帰ってきた!?」 ドアが開く音に凌駕が店内に飛び出す。 そこに転がされていたものは、変わり果てた姿のアバレイエロー=樹らんるだった・・・ マスクを奪われたその素顔は恐怖にひきつり、瞳の焦点は合っていない。 アバレイエローを象徴する黄色に輝くアバレスーツは全身切り刻まれ、ズタズタに引き裂かれている。 特に胸から太腿にかけてのスーツはベルト以外ほとんど原型をとどめておらず、白いインナースーツも 乱暴に引き千切られたようにボロボロにされていた。そして内股から太腿を流れる血が、らんるが どんな目に合わされたか最悪の事態を残酷に物語っていた・・・ 呆然と立ちつくす凌駕・アスカたち。 「まずいぞ。デカいやつが来る!みんな、逃げるんだ!凌駕、らんるを!」 全員が地下通路に飛び込むのと同時に、ギガノイドが「恐竜や」を秘密基地ごと踏み潰す! 間一髪、危機を脱した凌駕たち。 だが、アバレンジャーがエヴォリアンへの反撃を開始するには、二代目アバレイエローの登場を 待たねばならなかった・・・ 完 |