ディノスレイヤー・カレン〜設定


恐竜人類(ディノサウロイド)。それは恐竜から進化したとされる、空想上の知的生命体。
そう、それは空想上のもの…で、あるはずだった。

「学校の裏山でグレイ発見!」
そんな噂が、ある学校に流れた。その学校の名は、私立竜門学園高校。グレイと言えば、
地球に飛来しているとされる宇宙人の代表格である。SF好きの歴史科教師・蒼海華蓮は、
その噂の真相を自ら確かめるべく、一人裏山へと足を踏み入れた。
そこで彼女を待っていたものは、野犬の吠え声、そして何かの悲鳴…。早速彼女は
声のするほうへと走った。そして…かつて見たこともない生物に遭遇した。
すぐに野犬を追い払い、その生物を保護した華蓮。だが、それはグレイではなかった。
その正体について思案している華蓮であったが、背後から突然巨大な怪物が現れる。
わけもわからずとにかく目の前の生物を連れて逃げる華蓮だったが、追い詰められる。
そのとき、華蓮の頭の中に、直接声が響いてきた。その声の主は、どうやら目の前にいる
謎の生物であるらしかった。彼女(乳房らしきものがあるので華蓮は勝手にそう判断した)の
話では、意思を直接テレパシーで脳へと伝えているので、私の言いたいことはあなた方の言葉に
変換されて聞こえているはずだ、という。彼女の名は、エニュレルラルラ。恐竜人類・ウィズダ属で
あると言う。恐竜人類には体格は人間の子ども程度、平和的で高い知能を持つウィズダ属、そして
好戦的で残忍、体格も大きいバーバ属の二つに分かれるのだという。で、今追いかけてきているのが
そのバーバ属なのだとか。
 (こんなことは、あまりやりたくはないのですが、この際仕方がありません…)
彼女がそういうと、突然その手が光りだした。と思ったら、華蓮は自分に異変が起こっているのに
気づく。
 「ななな、何よこれ!?」
 (その姿ならば、バーバ属とも戦えるはずです。もうしわけありませんが、今この危機を
脱するには、あなたにあれを倒していただくほかはありません)
一瞬の逡巡ののち、華蓮は戦うことを決断する。そして、苦しみながらも勝利した。

戦闘終了後、華蓮はエニュレルラルラに詳しい説明を求める。彼女の言葉によれば、恐竜人類は
現生の人類の文明をはるかに凌駕したそれを持っていたという。
しかし、6500万年前、突然の来訪者によりそれは終焉を迎える。その正体は、巨大隕石。
そしてその衝突に伴う、環境の激変。その襲来を予知しつつも、回避は不可能と判断した
恐竜人類たちは、再びこの星が自分たちの居住に適した環境に戻るまで、あるものは宇宙へと
逃れ、またある者は地下深くでコールドスリープ装置に入り、眠りにつくことにした。
しかし、それに乗じたバーバ属が、眠りについたウィズダ属を襲撃、そのほとんどを殺害
してしまった。そして装置を奪い、自分たちがコールドスリープに入った。
そしてそれから6500万年。ついに恐竜人類というよりバーバ属が少しづつ目覚め始めた。
最初に目覚めたのは今から数千年前。彼女、エニュレルラルラは王女として他の者と違う場所で
眠っていたため難をのがれ、そして同じ頃に目を覚ます。そこで彼女が見たものは、
6500万年のあいだに新たに進化してきた現生の人類に対し暴虐の限りを尽くすバーバ属の
姿だった。彼らは人類から鬼と呼ばれ恐れられていた。それに心を痛めた彼女は、バーバ属の
暴虐を阻止するために人類に力を貸すこととした。そうして誕生したのが、”ディノスレイヤー”
(これは現代人の華蓮が知る言葉だとそう言う名前になる、ということである。古い時代ならば
また違う名前になっていたものと思われる)と呼ばれるものである。
そしてその時代のバーバ属を全滅させると、更なるバーバ属の目覚めに備えて再び彼女は
コールドスリープ装置に入った。何年か置きに目覚めるようにセットして…
(6500万年の地殻変動により、すでに彼らの眠る場所はわからなくなっており、眠っている間に
装置を破壊すると言うようなことは不可能だった)
そしてそれ以後何度もディノスレイヤーを生み出した。それが鬼退治伝説として今も残っている。
そして現代…とても大きな気を感じた彼女が目覚めると、かつてないほどの規模でバーバ属が
目覚め始めていると言う事実を知る。このままでは間違いなくこの世界はバーバ属が支配する
最悪の世界となる。それを阻止するため、彼女は新たなるディノスレイヤー候補を求めさまよって
この地に来たということである。

 (今回のことは、仕方なく取った措置ですから…何もあなたのような人がこんな戦いに
巻き込まれることはありませんよ…)
 エニュレルラルラは、別に華蓮をディノスレイヤーにしようとしたわけではなかった。忘れろと
も言う。しかし、華蓮はそれをよしとしなかった。
 「私じゃなくてもいい…ってことは、私でもいいってことよね?」
その言葉に、エニュレルラルラは驚きを隠せない。
 「だって、知ってしまったから…知らないふりして誰かにまかせっきりにするくらいなら…
私は、渦中に飛び込むことを選ぶわ」
こうして、ディノスレイヤー・カレンが誕生した。

そして華蓮とバーバ属との戦いは続いたが、あるとき華蓮の生徒・朱地零がその戦いに巻き込まれて
しまう。彼女を心配した華蓮はこのことは忘れた方がいいというが、彼女もまた、華蓮と同じく
そういうことのできる人間ではなかった。
 「見て見ぬふりぃ?自分が一番嫌いなこと、教え子にやらせようなんて言わないよねぇ、
華蓮ちゃん?」
そして半ば強引に、彼女は華蓮のサポート役としてくっついてくることになった。

その後も華蓮たちは順調にバーバ属を倒していく。だがある日、華蓮の前に死んだと思っていた
かつての親友、玄坂霧愛が現れる。ディノスレイヤー・カレンへの刺客、ディノブレイカー・キリア
として…
 「華蓮…まだあたしを親友だと思ってくれているなら…お願いだから死んで頂戴」
霧愛のその姿は、華蓮と同じく明らかにウィズダ属の力が介入しているものと思われた。
どうやら、この時代のバーバ属の大量覚醒の裏には、暗躍するウィズダ属が存在するらしい…。
こうして、戦いはより複雑になっていく…



用語解説

恐竜人類(ディノサウロイド)…群馬県立自然史博物館に展示されている、「もし白亜紀に絶滅した
恐竜が、絶滅しなかったら…?」という考えのもとに研究されつくられた架空の存在。
作中では、絶滅より前にそれが存在し、しかも現生人類よりはるかに高度な文明を持っていたという
設定になっている。実際に展示されている、ちゃんとした研究の成果とは勿論全くの別物なので注意。
人口は、下記の両属をあわせても100万人程度。

ウィズダ属…恐竜人類のなかで、身体が小さく(人間の子ども程度)、知能が高い種。性格はきわめて
おとなしく、愛と平和と強調とを何より重んじる。文明を作り出してきたのもこちらの種族。
彼らの進んだ科学では、現在は超能力としてあまり真剣に信じられていない能力についても科学的な
実証が行われており、誰もがそれを使いこなすことができた。かつては今の人類のような機械文明で
あったが、それによる環境破壊が進んだたため、超能力とナノマシンを極度に発達させて
環境を破壊するような機械などのあらゆるものを放棄した。故に現代人が当時を見たらあまり発達した
文明とは映らないはずである。

バーバ属…身体が大きく(身長2〜3メートル程度)、知能はそれほど高くない(とはいえ
ウィズダ属の作り出した文明を享受できるだけの知能はある)。残忍で好戦的。
しかし、ウィズダ属の圧倒的な科学力の前に暴れることはできず、常に苦々しく思っていた。
6500万年前の巨大隕石の飛来によってチャンスを得、ウィズダ属をほぼ絶滅させる。
そしていつの日かバーバ属の世界を作ることを夢見て眠りについた…。
そして6500万年の後目覚めた彼らは暴虐の限りを尽くし、人間から「鬼」と呼ばれ
恐れられた。
ちなみに、彼らが眠りについた場所は、現在では日本列島と呼ばれている場所であった。

ディノスレイヤー…バーバ属の蛮行を止めたくとも自分では性格的にも肉体的にも戦いは不可能な
ウィズダ属の王女、エニュレルラルラが作り出した強化スーツをまとった人間の戦士。
古くは温羅を倒した吉備津彦命や酒呑童子を滅ぼした源頼光などがいる。

ディノブレイカー…ディノスレイヤーとほとんど同じ姿をした戦士。そこには明らかに
ウィズダ属の力が介在していると思われる。それが何故バーバ属の味方をして華蓮を襲うのかは
不明。



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