二心同体モイラ〜世界観・設定


精神生命体”エフラ”…それは、この宇宙が始まったときから存在する、”思索するもの”。
それは、この宇宙凡てに等しく存在するもの。
それは、最初の生命。
何にもとらわれず、どこにも流されず、ただただ思索を繰り返すのみ。

だが、いつしか彼らは物質の中に宿り始める。
これが物質生命の始まり。

精神だけの存在と違い、物質に宿った彼らは、物理法則という著しい制限を受ける。
ゆえに、いつしか思索することをやめ生きるためだけに存在するものとなった。

…知的生命が生まれるまでは。


ふたたび思索をはじめた彼らは、しかしもはや思索するだけの存在ではなくなった。
様々な精神、思考をもつようになっていた。


そしてそこから…新たに二つの精神生命体が生まれた。

”正”の精神生命体”エフレイル”。
”負”の精神生命体”エフェルセス”。

彼らは、生まれたそのときより相反する存在であり、互いに戦うことを
宿命付けられていた。

”エフェルセス”の使徒は破壊と混沌を求め
”エフレイル”の使徒は安定と秩序を求めて…

戦いは全宇宙規模で繰り広げられている。
勿論、この地球でも。
現在、この瞬間も。




”エフレイル”の使徒、地球担当の戦士・モイラはまだ歳若いながら
絶大なる戦闘能力を持っていた。
その力は星の数ほどいる”エフレイル”の使徒の中でも屈指。
だが、それが過信を生む。
敵の罠に落ち、致命傷を負うモイラ。


薄れ行く意識の中で、モイラは思う。
「ボクはまだ、こんなところで死ぬわけにはいかない…!!」


ちょうどその頃、すぐ近くに失われゆく一つの命があった。
その名は阪中涼、大学生。車にはねられ、瀕死。


モイラは考える。この状況、自分、そしてこの地球人が助かる方法が
たった一つだけある。

それは、命の共有。
それは、二つの命を共有することで、消えかかった命をつなぎとめる方法。


だが、それは禁忌。
命を弄ぶ行為。


だが、モイラは迷わない。
彼女にはやらなくてはならないことがあった。
それを果たさないで、死ぬわけにはいかなかった。
たとえどんなことをしても…


こうして…モイラと涼、二つの魂を一つの体に宿した、新たな
生命が誕生するのだった。

用語解説

・精神生命体”エフラ”…宇宙が生まれたときから存在する、精神のみで肉体を持たない生命体。
 ただひたすらこの世の物事について思索をめぐらし、宇宙を漂うだけの存在。

・”正”の精神生命体”エフレイル”…知的生命体の精神活動のうちの、愛や友情など、主に
 ”正”に大別される感情から生まれた新たな精神生命体。愛をもって宇宙中の生命を見守り、
 また宇宙に秩序をもたらそうとする。

・”エフレイル”の使徒…肉体を持たないエフレイルが、その意思を体現するために
 作り出した肉体をもつ生命体。体格はかなり巨大であり、また一人ひとりが戦士としての
 素質を持つ屈強な存在。宇宙中のあらゆる生命を”エフェルセス”やその使徒から守るために
 戦う。また、他の生命体に変身する能力など、様々な特殊能力も持っている。

・”負”の精神生命体”エフェルセス”…知的生命体の精神活動のうちの、憎悪や嫉妬などの
 ”負”に大別される感情から生まれた新たな精神生命体。深い憎悪をもってこの宇宙をすべて
 破壊しようとしている。

・”エフェルセス”の使徒…肉体を持たないエフェルセスが、その意思を体現するために
 作り出した生命体。使徒である彼ら自身も精神生命体だが、エフェルセスやエフレイルにはなく、
 原初の精神生命エフラがもっていた物質に宿る能力を有し、あらゆるものをその肉体と
 することが出来る。とはいえ基本的に対象は非生物であり、意識を持った生命体をのっとることは
 不可能だが、彼らの中でも特に強い力を持った者は知的生命体さらには”エフレイル”の使徒の
 肉体をも 無理矢理のっとることさえやってのける。

・生命の共有…もはや回復不能なほど消耗し、一つの生命として存続できなくなった二つの魂を、
 無理矢理融合して何とか一つの生命として保つ方法。”エフレイル”の使徒のごく一部が
 使える能力だが、生命を弄ぶ行為として固く禁じられている。
 一度融合すると、それぞれが一つの生命として存続できるほど魂の力が回復するまで
 離れることは出来ない。
 能力を使用した者の魂はそれだけでもかなり消耗してしまうため、肉体の主導権は
 使用した者でないほうが持つことになる。




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