「戦力の分断、それがボルトの狙いなのね」 
 現場へとバイクを走らせながら、岬めぐみは考えた。 
 3人揃っての集団戦。それこそがライブマンの力を100%発揮できる。敵は自分達を
各個撃破する事でライブマンを倒そうと考えたのだろう。 
 ボルトの戦闘員ジンマーが、破壊活動を行っているとの情報を入手したのは今から
少し前だった。しかも、3ヶ所別々の場所で。 
 3人で1ヶ所ずつ対応する、そんな考えもあった。 
 だが、それでは他の場所の人々が被害を受ける。結局ライブマンは危険だが、
戦力を分断するしかなかったのだった。 
「それ以上の悪事は許さないわ!」  
 現場に到着するや否や、ジンマー達に立ち向かうめぐみ。 
 変身前ではあるが、華麗な動きで1体ずつジンマーを打ち倒していく。そして、
その場にいた最後のジンマーを打ち倒したその時― 

 パチパチパチ! 

 周囲に響く拍手の音。めぐみが音のほうへ視線を送ると― 
「貴方は…●●●!」 
 そこには笑みを浮かべた●●●が立っていた。周囲にジンマーの姿はない、彼1人だけだ。 
「ここからは俺が君の相手をするよ、めぐみ」 
「気安く名前を呼ばないで!」 
「おやおや、これは手厳しい。でも、俺は君の能力を評価しているんだよ。今からでも遅くない。
ボルトへ来ないかい?」  
「悪魔に魂を売る気なんてこれっぽっちもないわ!」 
 ●●●の誘いを一蹴するめぐみ。 
「残念だな…」 
 そっと呟き構えを取る●●●。めぐみも両腕のツインブレスを構え― 
「ブルードルフィン!」 
 変身コードを叫んだ。めぐみの体が光に包まれ、ライブスーツが纏われていく。 
「そこだぁ!」 
 次の瞬間、●●●が放った怪光線が、めぐみに直撃した。 
「きゃぁぁぁっ!!」 
 直撃を受け吹き飛ぶめぐみ。かなりのダメージですぐには動けなかったが、何とか
回復して起き上がる。 
 だが、すぐさま感じ取った異常に愕然とした。 
「な、何…変身が!?」 
 変身中に攻撃を受けた為、変身が完了できず、マスクが装着されない不完全なブルードルフィンと
なっていたのだ。 
 これでは本来の能力の十分の一も発揮できない。 
 思いがけない事態に一瞬パニックとなるブルードルフィン。当然、●●●はその隙を見逃さない。 
「まずは…捕獲!」  
 エネルギーロープを放ち、ブルードルフィンを縛り上げる●●●。  
「ああっ!?」 
 戒めから逃れようとするブルードルフィン。だが、不完全な状態ではどうすることも出来ない。  
「ちょっと痛いよ」 
 そんなめぐみに追い討ちをかけるように●●●は、ボディに一撃を叩き込んだ。  
「グフッ…」 
 かすかにうめき声を上げ、そのまま崩れ落ちるブルードルフィン。 
「さあ、楽しいパーティーへご招待だよ」 
 そう呟き、●●●はブルードルフィンを抱きかかえ、姿を消した。 

part3へ続く


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